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第290回:緊急掲載 ラグビー・ワールド・カップ 2015 ~予選プール戦終了~決勝トーナメントへ

更新日2015/10/15

『ワールド・カップ史上最強の敗者』
各国の多くのメディアがそう評した、今回のジャパン。勝率で言えばプール1位である3勝1敗という成績を上げながら、予選敗退という事実は、かつてのW杯では確かに一度もなかった。さらに、南ア戦はもちろん、サモア戦も、アメリカ合衆国戦も、相手を凌駕しての勝利だったから、なおのこと悔しい。

今でき得るすべてを出し切り、最高のパフォーマンスを見せてくれた、頼もしい誇らしいチームだった。しかし、決勝トーナメントまでは一歩届かなかった。次の目標はその決勝トーナメントへの切符を得ること。今回痛感したであろう、ボーナスポイント争奪の妙を、次回は我がものとして生かさなければならない。

プールBは、南ア、スコットランド、ジャパンが3勝1敗で並びながら、勝ち点ではそれぞれ、16、14、12であった。そしてトライ数はそれぞれ、23、14、9だった。やはり、トライを数多く取れるチームでなければ勝ち点を稼げない。ジャパンは、持ち前のディフェンス力に加えて、次回は今回を大きく上回る、決定力を持つチームに成長していくことが課題となる。

ところで、今回のW杯が始まる前に、私はラグビー好きの一人の友人と、ジャパンの戦い方について論じ合っていた。やはり上に行く(決勝トーナメントに進出する)にはスコットランド戦に照準を絞った方が良いだろうと考えた私に対し、「いや、南ア戦だね」と、彼は切り返してきた。

「あの怪物のように強い南アに、本気で勝ちに行かなければ、ジャパンは絶対に上には行けない。もし渡り合って10人の負傷者が出ても、誇り高いゲームができれば、リザーブの10人が代わって次の試合からは勝ってくれる。南ア戦、『ジャパン・ラグビーの興亡、この一戦にあり』だと、俺は強く思っている」。

振り返れば、先見の明がある意見だった。ジャパンはそうして戦って、そして、その友人でさえ考えつかなかった勝利を挙げたのだ。その後彼に会っていないが、彼もあの日は朝まで寝付けなかったことだろう。

さて話をW杯全体に転じて、"死のプール"を通過したのはオーストラリア、そして何とウエールズだった。私は今回大会前にそれぞれのプールの1位、2位通過の予想を立てていて、B、C、Dについてはすべて的中したが、このプールAについてだけはオーストラリアが1位、イングランドが2位だと予想していたため外している。

満身創痍ながら、代役がレギュラーを凌ぐような活躍をしながら、大きく健闘したウエールズ。反対に、日程、開始時刻、競技場などすべて自分の有利なようにお膳立てしながら、そのプレッシャーに耐えかねて敗れ、決勝トーナメントではただ試合会場を貸すだけの、一介の大家さんになってしまったイングランド。明暗がくっきりと分かれた。

そして、決勝トーナメントの組み合わせが決まった。
( )内はプール名と通過順位。

第1試合 南アフリカ(B1) VS ウエールズ(A2)

第2試合 ニュージーランド(C1) VS フランス(D2)

第3試合 アイルランド(D1) VS アルゼンチン(C2)

第4試合 オーストラリア(A1) VS スコットランド(C2)

準々決勝の中でも、何と言っても注目されるのは、第2試合のニュージーランド(以下:NZ)対フランスのゲームだろう。前回大会の決勝戦と同一カードである。熾烈な戦いを演じ、8-7という1点差でかろうじてNZが勝利した。

キャプテンも同じ、リッチー・マコウとティエリ・デュソトワール、ともに世界を代表するフランカー同士。この2ヵ国、W杯での対戦成績は2勝2敗。面白いことにNZの2勝は両方とも決勝戦。準決勝、準々決勝の対戦ではフランスが勝利している。

今大会のプールDでの1位通過はアルゼンチンと2位通過はNZとの対決が決まっていたが、フランスは前々回の自国開催の際、2試合とも敗れた相性の悪いアルゼンチンとよりも、NZとの対戦が組まれる方を望んでいた節さえ感じるのである。フランスとは、いつも何か捉えようのない摩訶不思議なチームである。

4試合の大まかな予想を立ててみる。

第1試合。怪我人続出ながら見事に決勝トーナメントに上がってきたウエールズだが、今の戦力では、ジャパン戦の敗北から別のチームのように豹変した南アには、やはり勝てないのではないかという気がする。

第2試合。前人未到のW杯2連覇という記録達成に挑むNZが、予選中盤から調子を上げてきているので、フランスが調子づく前に攻撃を仕掛け、これが功を奏して、試合はもつれながらもNZが勝利するのではないか。

第3試合。予想が難しいカードである。まったくラグビー・スタイルの違う両者。アイルランド、キャプテンのポール・オコンネル、プレース・キッカーのジョナサン・セクストンの怪我からの復帰が大きなキーとなるだろうが、控え選手の充実もあり、ヨーロッパ6ヵ国対抗2連続優勝の試合巧者ぶりが、アルゼンチンを凌ぐことだろう。

第4試合。サモアとの予選最終戦で、まさに自国のラグビーの興亡をかけて戦い勝利し、トーナメント入りを果たしたスコットランドだが、W杯に入りグングン強さを増したオーストラリアには歯が立たないと思う。

ということで、準決勝の組み合わせは、

第1試合 南アフリカ VS NZ

第2試合 アイルランド VS オーストラリア

になると予想する。

ここからは私の希望的観測だが、決勝戦はNZ対オーストラリアのカードになって欲しい。現在、ワールド・ラグビー世界ランキング1位と2位のチーム同士の対決。実は過去7回のW杯で一度も実現したことのない決勝戦なのだ。

そして、優勝は? それは次回のこの項でじっくりと書いていこうと思っている。決勝戦の行なわれる10月31日(土)の2日前に、このコラムは更新される。その時には、私の準々決勝、準決勝の予想は一体どこまで的中しているだろうか。

-…つづく

 

 

第291回:緊急掲載 ラグビー・ワールド・カップ 2015 ~決勝へ

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金井 和宏
(かない・かずひろ)
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1956年、長野県生まれ。74年愛知県の高校卒業後、上京。
99年4月のスコットランド旅行がきっかけとなり、同 年11月から、自由が丘でスコッチ・モルト・ウイスキーが中心の店「BAR Lismore
」を営んでいる。
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