第288回:緊急掲載 ラグビー・ワールド・カップ 2015開幕!!
「流行り歌に寄せて」を継続掲載している途中ですが、4年に一度のワールドカップ(以下:W杯)、どうしてもフリークの血が騒ぎ、4年前と同じように、開催中はラグビーについてのコラムになります。どうかご容赦いただき、少しでも関心のある方は、さらっと目を通してみてください。よろしくお願いいたします。
第8回ラグビーW杯 2015が、9月18日(金)から10月31日(日)まで、ラグビー発祥の地、イングランドで開催される。
前回のこのコラムでご紹介した『東京五輪音頭』から52年一気にワープした形だが、オリンピックとラグビーW杯、今回、はからずも不思議な関係性を持ってしまったこともあり、このコラムの流れも奇縁であるとひとりごちているのである。
さて、今までの7回の大会の優勝回数は、ニュージーランド(以下NZ)、オーストラリア、南アフリカが各2回、そして今回の開催国であるイングランドが1回である。
イングランドとしては自国開催の利を生かし、母国さらには宗主国の矜持で、何としても南半球の列強を打ち破り、優勝回数も並びたい。しかし、なんとも皮肉なことに過去の大会にも見られないような「死のグループ」に配置されてしまい、予選プールを突破することさえ、かなり厳しい状況にあるのだ。
各プールを見てみる。四つのプールに分かれてそれぞれが5ヵ国ずつ、計20ヵ国による戦いが繰り広げられる。国名の次に記す( )内の数字は、W杯開催直前9月14日付のワールド・ラグビー世界ランキングの順位である。
プールA
オーストラリア(2) イングランド(4) ウエールズ(5) フィジー(9) ウルグアイ(19)
プールB
南アフリカ(3) サモア(12) スコットランド(10) 日本(13) アメリカ合衆国(15)
プールC
NZ(1) アルゼンチン(8) トンガ(11) ジョージア(16) ナミビア(20)
プールD
フランス(7) アイルランド(6) イタリア(14) カナダ(18) ルーマニア(17)
「死のグループ」プールAは、5ヵ国中4ヵ国が、世界ランキング一桁台という、国際ラグビーの専門家でさえ、上位2ヵ国の勝ち残りの予測を敬遠したくなるような、熾烈な戦い必至のプールなのだ。イングランドのみならずオーストラリアでさえ、過去に一度も経験したがない、彼らにとっては屈辱的な予選プール敗退の可能性を秘めている。
さて、我がジャパンはどうだろう。正直、すべてのプールの中で最も戦いやすいと思われるプールBでの日程をあげてみよう。(勝敗はジャパンから見た過去の対戦成績)
09月19日(土)
南アフリカ 初対戦
09月23日(水) スコットランド 0勝4敗*
10月03日(土) サモア 3勝11敗
10月11日(日) アメリカ合衆国 8勝13敗1分
(スコットランドとの対戦は過去8回あるが、そのうち4回については、スコットランド側は国同士のテストマッチではない、スコットランドXVとしてのゲームとしており、こちらでの対戦成績はジャパンの1勝3敗)
マスコミの中には、日本が3勝して決勝トーナメントに進める可能性も充分あると気焔を上げている向きもあるが、それはあまりにも楽観的な意見であると思う。
私は、何としても米国にだけは勝って欲しい。そうでなければ、エディー・ジョーンズとジャパンのメンバーが今まで、必死の思いで努力してきたことが徒労に終わってしまう。激しく、そして丁寧に戦って打ち破りたい。
もちろん本気で勝つ姿勢で臨む南ア戦ではあるが、このチームにはどんなことがあっても勝てない。今大会1番のポイントは、その後中3日という過酷なスケジュールで臨むスコットランド戦であることは間違いない。
今年のヨーロッパ6ヵ国対抗(イングランド、スコットランド、アイルランド、ウエールズ、フランス、イタリア間で、毎年行なわれる定期戦)で、全敗の最下位という不本意な成績で終わったスコットランド。それ故か、先述の一部マスコミでは「以外と組し易し」という声もあるが、それは6ヵ国対抗のレベルが高いというだけで、最近のスコットランドは前回大会では比べ物にならない展開力を持っている。
ジャパンが勝つためには、とにかくフォワード(以下FW)戦で優位に立ち、接点でより多くのボールを奪い取ること。そして、FWとバックス(以下BK)と一体となって、ハーフバック陣の周りに次から次へと選手が走り込み、相手を撹乱する動きでボールを前に運び続けなければならない。
今までの日本とは違うな、プレーし難いなとスコットランドを慌てさせれば、ゲームは良い方向が見えて来る。まず、ほとんど勝つことはできないだろう、しかし、まったくその可能性がゼロというわけでもない相手、それがスコットランドである。(スコットランドの大ファンである私だから、そこらへんのことはよく理解しているつもりだ)
私は、今回二つのゲームに勝つことができれば、ジャパンのラグビーの歴史を変える、とてつもなく大きな成果になると思っている。南ア、スコットランドに連敗した後、長いインターバルの期間があるにしても、仕切り直しをしてサモアに勝つのは、モチベーションの問題から言って、まず無理だと言っていい。
サモアは、世界ランキングで言えば日本の一つだけ上にいるチームだが、2ヵ月前のNZ戦で16ー25という僅差のスコアまで追い込んだ実力がある。体躯が強く、この試合で完全レギュラーで臨んだNZの選手たちをなぎ倒して突進し、トライまで持っていった姿は圧巻である。
世界ランキングとは関係なく、身体を張ったガチンコ勝負ということになれば、トンガはスコットランドを凌駕することだろう。
9月23日のスコットランド戦、今までの、そして将来のジャパン・ラグビーにとって、とてつもなく大きな意味を持つゲームとなることは間違いない、と確信している。
-…つづく
第289回:ラグビー・ワールド・カップ2015
予選プール前半戦を終えて
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