■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第733回「展望車行ったり来たり - SLやまぐち号 徳佐~新山口 -」 徳佐駅に停まる前に通ったトンネルが島根県と山口県の県境だった。ここは山口県の谷間である。線路の両側から山が近づき、また離れていく。地図を見ると、この谷は阿武川が刻んだようだ。このまま新山口まで並ぶかと思ったら、長門峡駅付近で北に向かい、東萩で日本海に注ぐ。途中には阿武川ダムの大きな湖もある。中国地方の尾根は入り組んでいる。川の流れも予想外だ。さて、グリーン車の空席を見つけて「移席」できて良かったけれど、4人席の通路側で他人との相席は少し居心地が悪い。せめて窓際だったら景色に集中できる。しかし通路側から窓を見ると、左右のどちらも相席が視界に入る。社交的な人ばかりなら会話も盛り上がるし、盛り上げる自信もある。しかし、おしゃべりに夢中になると景色を眺める暇がない。すこし車内を見聞してこよう。前方はゴリラさんが座っているから、自然と足は後方へ向かう。4人グループと家族連れで賑わっている。
杉山 淳一 ※只今休載中 バックナンバー
2022/08/04掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第440回「流行り歌に寄せて No.240 「噂の女」~昭和45年(1970年)7月5日リリース」 1969年(昭和44年)公開の、アメリカン・ニューシネマの代表作と言われた『真夜中のカーボーイ』。ジョン・ボイトとダスティン・ホフマン演じるジョーとラッツオのニューヨークの片隅で暮らす二人の生き方は、当時の多くの若者の共感を得て、日本でも大きな話題となった。 この映画のテーマ曲が、ハリー・ニルソンの歌う『うわさの男』であった。この曲はフレッド・ニールが作詞・作曲をし、自ら歌ったもので、ニルソンはカヴァーなのだが、今ではニルソンのバージョンの方が圧倒的に有名である。『真夜中のカーボーイ』が日本で公開されたのが、今回の『噂の女』発売の前年の10月だから、今回もしかしたら山口洋子がそのタイトルに触発されてと邪推してみたが、おそらくそれは当たっていないかも知れない。『噂の女』というタイトルは、昭和29年(1954年)公開の溝口健二監督の大映映画でも使われている。田中絹代と久我美子が母娘役となった…
金井 和宏 バックナンバー
2022/08/11掲載
■音楽知らずのバッハ詣で 第38回「ライプツィヒという町」 音楽祭に足を運ぶのは、老齢の私にとってさえ心はずむ喜びだ。今住んでいるコロラド州の高原台地にあっては、クラシックを聴くチャンスは非常に限られてくる。大学生を中心にしたオーケストラ、合唱団の定期演奏会があり、大学の音楽学部の先生らのリサイタルがある。ここはアメリカ中西部の小さな大学町で、最近になって、天候の良さを売りにして老人ホームが続々と増え、それに従い、この街に不似合いなほど大きな病院があるだけだ。全米に知られた音楽祭、クラシックではなく、カントリーウエスタンの大きなフェスティバルが広々とした荒野で開催されているから、音楽不在とは言えないのだが…。クラシックは、隣町のモアブ音楽祭、夏場のスキー場を利用したアスペン音楽祭、ヴェイル音楽祭、テリュライド音楽祭があり、相当有名高名な演奏家、オーケストラを呼び、入場券も即完売になる。近くの山や谷にテントを張り、キャンプしながら会場に通うのは独特の愉楽だ。演奏する方も聴く方もどこかリラックスしていて…
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第767回「イノセンス・プロジェクト、冤罪のことなど」 第763回「スポーツとセックス・チェック」のコラムで、元男性のリア・トーマス(Lia Thomas)選手が水泳の女子分野で大活躍をしていることを書きましたが、全米大学水泳連盟は2022年07月20日付けで、性転換した選手を、狙いは元男性で女性になった人ですが、全般的に女性選手のカテゴリーに入れないことを決定しました。12歳未満で性転換を行なった者は例外として認めることとしているのは、12歳未満だと性的徴候が現れる前で、生まれつき両性の特徴を備えた特殊な体質の子供の性を、両親とお医者さんがどちらかに決めるケースがあるからだそうです。 この決定は、体育連盟に大きな反響を呼び、今のところ個人競技の陸上などが賛成していますが、バスケット、サッカーなどの団体競技の連盟は、主役のスターが女性に変身した元男性選手ですから、素直に12歳前に…という条件を呑んでいません。そんなことをしたら、アメリカ常勝の女子バスケット、サッカーが一挙に沈み込むからでしょう。 アメリカ人、元男性の巨人、ゴリアテのバスケットボール選手に対して、日本人の小人がチョコマカ動き回る、不自然な試合が早くなくなり、対等の試合を早く観たいものです。
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■ジャック・カロを知っていますか? ~バロックの時代に銅版画のあらゆる可能性を展開した天才版画家とその作品を巡る随想 第29回「戦争の悲惨」 父親の死を受けてカロはパリからナンシーに帰りましたが、ナンシーは悲惨な状態にありました。ペストが大流行していたからです。父の死因もペストでした。ペストは父の死の翌年、1661年にも収まる気配を見せず、しかもそんな最中(さなか)であったにもかかわらず、悪いことに、フランス国王の座を奪い取る妄想を捨てきることができずにいたロレーヌ大公シャルル4世の野望に再び火を付ける人物がロレーヌに庇護を求めてやってきました。ルイ13世の母マリー・ド・メディシスが自らの三男、13世の弟ガストン・ドルレアンを焚きつけて王宮からリシュリューを失脚させようとした陰謀が失敗に終わったため、さすがに処刑はされなかったものの、マリーはフランスから追放されてベルギーに追いやられ、共謀者とされたガストンが、シャルルを頼ってロレーヌに逃亡してきたのだった。身の程知らずの二人は早速、リシュリュー打倒の作戦を練り始め、オーストリアのフェルディナント2世と組んで憎っくきリシュリュー率いるフランス軍を打ち破るべく、まずはなけなしの金をはたいてフランスとの戦いに負け戦を続けていたフェルディナント2世に軍資金を送って鼓舞し、自らも旗を挙げますが…
谷口 江里也 ※今週休載します バックナンバー
■よりみち~編集後記 08月11日までの新型コロナウイルスの各国別感染者数(死者数)の推移をまとめました。 ※日本の感染者数はダントツの世界一を更新中です。感染者数はこの1週間で150万人(1日平均215,235人)、死亡者数は1週間で1,358人(1日平均194人)となっており、死亡者数でもアメリカに次ぎ世界2位となっています。しかし、政府も一切規制をかけるどころか、お盆の帰省シーズンにも拘わらず、何の対策も呼びかけていない状態で、夏休み後の感染拡大がさらに加速することは間違いなさそうです。
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