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第195回:緊急掲載 ラグビー・ワールド・カップ2011開幕!!

更新日2011/09/08


「流行り歌に寄せて」を継続掲載している途中ですが、4年に一度のワールドカップ(以下:W杯)、どうしてもフリークの血が騒ぎ、開催中はラグビーについてのコラムになります。どうかご容赦いただき、少しでも関心のある方は、さらっと目を通してみてください。よろしくお願いいたします。

第7回ラグビーW杯2011が、9月9日(金)から10月23日(日)まで、ラグビー王国ニュージーランド(以下:NZ)で開催される。

王国と呼ばれ、常に世界最強と言われ続けてきたNZオールブラックス(事実、世界中のどの国との対戦成績でも圧倒的に勝ち越している)。しかし、オーストラリア(以下:豪州)との共同開催で1987年に行なわれた第1回大会で優勝して以来、24年間覇者の座からは遠のいている。

過去6大会の優勝国は、そのNZの1回の他は、豪州が2回、南アフリカ(以下:南ア)が2回、イングランドが1回となっていて、NZとしては南半球の宿敵2ヵ国に後れを取っている。

さらに、アパルトヘイト政策でW杯に参加できなかった南アの初参加は自国開催の第3回大会からで、その大会も含め4大会のうち2回優勝しているのに対し、NZは南ア参加後の優勝がない。これは王国にとってかなり屈辱的なことである。

ラグビーが国技であり、自国開催国として(しかも、単独開催ははじめて)、24年間の雪辱を果たすべく、NZ国民からは圧倒的な期待がかかっている。

何せ、W杯で優勝できない年はNZ内のDVが通常年の何割か増になるというほど、NZ中が過熱する球技である。多くの奥様方(一部のご亭主方)が暴力に苛まれる悲劇が起きないよう、オールブラックスは奮起しなくてはならない。

さて、NZの優勝の可能性は? 多くのメディアが伝えるように、今大会は間違いなくダントツの優勝候補である。もちろん、過去の大会でも同じことが言われてきてはいるものの、今年のチームには安定感がある。

W杯直前の南半球トライ・ネーションズ(NZ、豪州、南アの3ヵ国対抗戦)で、終盤の2試合で南ア、豪州に敗れたのも、力が落ちたのではなく、W杯のための調整をしながらの試合であったからだ。

ここ2、3回の今までのW杯では不思議なほどに、W杯前年にそのピークを迎えていた。判で押したように、頂点から力が下降してくる段階でW杯があったのだ。

今回も昨年あまりにも強く、また同じことが繰り返されるのかとも思えたが、今年はさらに強いチームに仕上がっている。キャプテンのリチャード・マコウ、ダニエル・カーター、コンラッド・スミスら主力選手が最後まで怪我をせずに、今のNZの実力通りのラグビーができれば、優勝は堅い。

他の強豪国については、次回のコラムで触れたい。

我がジャパンはどうか? ジョン・カーワン(以下:JK)がヘッド・コーチになったおかげで魅力的なチームに成長して、現在は世界ランキング13位。従前の大会よりも、かなり期待は持てる。

今回の日程は(世界ランキング、過去のジャパンから見た対戦成績)
9月10日(土) 対フランス戦〈4〉  0勝8敗   
9月16日(金) 対NZ戦〈1〉     0勝3敗
9月21日(水) 対トンガ戦〈12〉   7勝5敗    
9月27日(火) 対カナダ戦〈14〉  11勝9敗2分

弱小チームの悲しさ、中5日、中4日、中5日という驚くほどタイトな日程だが、当たるチームの順番は、ジャパンにとってたいへん幸運と言える。

10日のフランス戦は主力が全力でぶつかり、16日のNZ戦はBチームで横綱に胸を借り、21日のトンガ戦、27日のカナダ戦にすべてを賭けることができる。

フランスには、力は到底及ばないものの、JKジャパンのパフォーマンスはここまで来ているのだと言うことを示したい。フランスは強い相手には牙を剥くが、自分より格下のチームにはそれなりに合わせるラグビーをする。

だから、失点を40点以内で食い止めれば好ゲーム、30点以内であればジャパンは相当強いチームになったことになる。

NZとの16年前のW杯での対戦、17?145のスコア。この悪夢のような失点を、ぜひとも半分の80点以内に押さえたい。

16年前と同様、相手はBチームで来ることは間違いなく、彼らはその存在感を首脳陣にアピールするために容赦なく襲いかかってくる。タフなゲームになるのは必至だ。

トンガには過去勝ち越しており、先日のパシフィック・ネーションズでも勝利しているものの、この国はW杯になると豹変してくる。前回のW杯では優勝国南アに対し25-30、対イングランドにも20-36と接戦を演じた。

W杯では初対決。ジャパンが最も良いパフォーマンスを見せて、ようやく勝てる相手。何としても勝ってもらいたいと思う。

カナダは、前回のW杯終了寸前、平選手のトライ、大西選手のコンバージョンで同点に追いつき、引き分けたチーム。今回は引き離したい。

ジャパンの今の力では50%以上の確率で勝てる相手だが、先日のアメリカ戦のような消極的なゲームをしていれば、勝利をあっさりと持って行かれてしまう。粘り強くチャンスを作ってトライに結びつけ、ディフェンスを徹底していけば、必ず勝てるだろう。

JKジャパン、最高の試合をすることができれば2勝を挙げることが可能だが、その道のりは限りなく厳しい。

-…つづく

 

 

第196回:ラグビー・ワールドカップ プール戦 ハーフタイム

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金井 和宏
(かない・かずひろ)
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1956年、長野県生まれ。74年愛知県の高校卒業後、上京。
99年4月のスコットランド旅行がきっかけとなり、同 年11月から、自由が丘でスコッチ・モルト・ウイスキーが中心の店「BAR Lismore
」を営んでいる。
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