第790回:“スカッと爽やか…”な甘い死
ウチのダンナさんの食べ方を見ていると、およそ好き嫌いが全くなく、目の前にあるものはすべて見事綺麗にたいらげます。さすがに、寄る年波には勝てず、彼も立派な糖尿病予備軍になり、少しは糖分、炭水化物の摂取に気を遣い、食べる量も減ってきました。彼曰く、「アメリカの加工食品はパンまで甘い。何でもかんでも砂糖ドップリだ」ということになります。そのせいで糖尿病予備軍になったと言わんばかりです。
我が家ではもう10年近く、家に砂糖を置いていません。別に甘いモノが嫌いになったわけではないのですが、砂糖の甘さが、舌や喉に残り、後味が悪いので、自然に砂糖から遠ざかってしまったのです。
例えば、豆乳ですが、砂糖や人工甘味料が入っていない、そのままのモノを長年飲んでいたのですが、ヴァニラ風味など、その他の味や香りを付けたものが主流になっていて、それらは決まったように、かすかに甘い味を付け加えているのです。豆乳そのまま、添加物なしの豆乳は、スーパーから消えていきつつあるのです。
それにアメリカ的朝食のシリアル、コーンフレークやライスクリスピス、果てはオーツミールまで、これでもかというくらい、ほとんどすべてが砂糖漬けなのです。育ち盛りの子供が朝ご飯をきちんと食べるようにと、子供の嗜好に合わせて食品会社が生み出しているのでしょうね。
以前、コカコーラの販売戦略を知り、驚いたことあがります。幼児、少年期に、ある味を擦り込むと、それが生涯続く傾向があると言うのです。日本流に言えば“お袋の味”に死ぬまで拘るのと同じなのかもしれません。それがご飯や味噌汁なら良いのですが、砂糖の甘さを脳に擦り込むと、常習的に砂糖味が欲しくなり、コカコーラを飲みたくなるというのです。
糖分の摂り過ぎが体に悪い、害を及ぼすことは、砂糖が大量に出回るやいなや警鐘が鳴らされていました。早く言えば、砂糖が体に良いことなんか全くないのです。高血圧になり、心臓病、糖尿病を誘発し、肥満する凶元なのです。やっとという感じで、遅ればせながら、学校給食から糖分、塩分を減らし、砂糖たっぷりの清涼飲料水の配給を停止することになりました。私の甥っ子の11歳になる息子メネノは、すでに超デブの肥満児で、あのままデブ街道を走って行ったら、どうなることかと心配です。
UCLA(カリフォルニア州立大学ロサンジェルス校)の栄養科学の教授、シャオピン・リー教授は、糖分を飲み物で摂るのは食物、果物などから噛んで飲み込むよりもはるかに身体に害を及ぼすと言っており、また、人間、動物が飲み物からカロリーを摂るのは自然ではなく、そんなことができるのはハミングバード(蜂雀;別名ハチドリ)だけだとも指摘しています。
アメリカサイズの大きなコップ(18オンス;532mL)一杯のお砂糖含有量は、コカコーラで59グラム、アメリカ人が愛飲するアイスティーで44グラム、レモネードに至っては60グラム、健康に良く、良い汗をかかせる流行りのスポーツドリンクでさえ31グラムなのです。
それを一杯だけでなく、ガバガバ飲みますから、糖分の摂取量たるや大変なことになります。アメリカ国民総高血圧、心臓病、肥満になるのは、ムベなるかなと思わせます。人体に害のない砂糖の摂取量は、1日に5グラム程度だと言われています。
お砂糖タップリの清涼飲料水は確実に寿命を縮めるのに有効で、同じような白い粉ヘロイン、コカインは即効性がありますが、お砂糖の方は目に見えない形で徐々に身体を蝕んでいくので、かえって始末が悪いのです。
また、最近の調査によると、乳がん、大腸癌を発生させる要因にもなっており、毎日習慣的に清涼飲料水を飲んでいる人は、全く清涼飲料水を摂らない人に比べ、心臓病で死ぬ確率が10%も高くなるとあります。
とても“スカッと爽やか……”なんですが、コカコーラは毒を飲んでいるようなモノだという栄養学者がいるくらいです。
第791回:“State of the union”とは何ぞや?
|