第449回:大学構内へピストル持込あり!?
長い休暇の後は、どうしても後遺症が残り、アアーまた仕事に通うのか、頭の固い管理職の教授たち、自分の仕事を知らない、やる気もない事務局の人たち、中学校にもう一度戻って、きちんと勉強してから高校、大学へと進むべき生徒さんの相手をしなければならないと思うと…憂鬱(凄い漢字ですね…)になります。一旦始まってしまえば、すぐにも慣れてしまうのですが…。
その憂鬱になる原因のもう一つは、大学内での暴力事件、ピストルやライフルをぶっ放す事件が増えていることです。私が勤めている田舎の大学まではまだ及んでいませんが、昨年、私の日本語の生徒さんの一人で、スティーヴンスさんと言いますが、ノイローゼになってしまい、二度も自殺を試み精神病院に入院しました。
とても良く勉強する黒人男性で、入院した(強制収容のようなものですが)後、何度か彼に電話をし、様態を訊いたり、励ましたりしましたが、私にできることは余りありませんでした。
スティーヴンスさんのルームメイトと話したところ、彼は自殺に失敗した後、ガソリンスタンドを襲うようなつまらない犯罪を犯せば、警察が自分を殺してくれないかな…と話していたそうです。また、彼のルームメイトは、銃火器のコレクターのように、沢山のピストル、ライフル、自動小銃を持っており、スティーヴンスさんがそれらの銃を使わないよう、他の場所へ移したと言っていました。
学生がそんなに銃器を持っていることにショックを受け、それとなく他の生徒さんにサグリを入れたところ、なんと半数以上の男子がピストルなどを持っていることを知りました。
私の母校であるカンサス州立大学では、今年から学内で自由にピストルなどを携帯できることになりました。それはテロリストや精神異常者が発砲、大量虐殺に及んだ時、自分を守るため、その犯人を殺すためなんだそうです。また、州で銃の携帯を許しているのだから、大学キャンパスを例外にするわけにはいかない…という理屈が通るのだそうです。
一応の規制があり、21歳以上で正規のルートで銃を購入(これは簡単、誰でも正規に買えます)、そして銃は脇の下や特別のガンホールダー、ハンドバックに入れて、人目に触れないように隠し持つ…ことが義務付けられています。
調べてみると、ユタ、コロラド、オレゴン、ミシッシッピー、ウィスコンシン、アーカンサス、アイダホ、テキサスの州ですでに拳銃学内持込OKなのです。銃火器に関しては先進的?な州テキサスでは、人目に触れないように(concealedと言います)持ち歩くという条件すら取り省き、西部劇のガンマンのように腰にぶら下げて街中、ショッピングモールを闊歩できるのです。
モーターサイクル暴走族が背中に機関銃、狙撃銃を背負い、まるでランボーここにあり!とばかりハレーダヴィッドソンを乗り回している写真を新聞で見ました。これはすべてテキサス州では合法なのです。
大学のキャンパスでは、銃の持込みを何とか規制するため、すべての建物の入口、ドアに駐車禁止マークのような赤丸に斜めの赤線を引いた『銃持込禁止ステッカー』を貼っていますが、飛行場のような金属探知機が設置してあるわけでなし、監視員がいるわけでなし、銃火器を教室に持ち込むのは野放しのままです。
キャンパス内では全域、建物外であっても、タバコは禁止、禁酒です。禁煙ではあれほど狂信的なまでの運動を展開したのに、キャンパス内での銃規制は一向に盛り上がりません。
教室でピストルを隠し持っているかも知れない生徒さん、いつキレルか分からない生徒さんを相手に、何時撃たれるか分からない状況で、厳しく正しく教えることができるはずがありません。
私の事務所に列を作って訪れる生徒さんの中に、そんな生徒さんの多くはできが悪く、問題を抱えているのですが、拳銃を持ち歩いている人もいるでしょう。そのように、ピストルをチラつかせた生徒さんに、"アナタの成績が悪いのはきちんと勉強しなかったためです、単位はあげられません、もっと勉強し、顔を洗って(とは言いませんが)出直しなさい…"とはなかなか言えるものではありません。
幸い、私の大学では今のところという条件付きですが、銃撃戦は起こっていませんが、いつ起こっても不思議でない状況なのです。
第450回:母乳売ります~オッパイ・ビジネス
|