第416回:旅行の準備の仕方が変わりました
そんなに昔のことではありせんが、泊りがけの小旅行に出る前には航空券、ホテルなどの予約はすべて旅行代理店に頼んで手配してもらっていたものです。今ではグループのパッケージツアー以外は、ほとんど全部インターネットで済ませることができるようになりました。きっと旅行代理店は経営に四苦八苦していることでしょう。
インターネットで旅行のすべてを、航空券からレンタカー、アトラクション、シアターの切符まで予約し、支払いもできるサイト、“エックスペディア”(Expedia,
Hotels.com,
Kayak、Cheapticket.com)などはとても便利で私たちも大いに利用していました。
ですが、これらの旅行サイトの仕入れ元と言うのかしら、航空会社やレンタカー会社、ホテルは大同小異で、どこのサイトを使おうが、90パーセント以上が同じ航空便、レンタカー、ホテルで、値段にも2、3ドル程度の差しかありません。
これらの旅行サイトに載っていない格安航空会社(LCC)やローカルなモーテル、全米ネットワークでないレンタカー会社が沢山あることに気がつきました。それらの激安便や、ユニークなモーテル、山小屋などはいちいちそこのサイトを探し当てなければなりませんから、ちょっと面倒です。でも、それだけの価値はあるように思います。
今では大手の航空会社ですら、直接自分の会社のサイトでしか航空券を扱わないところが多くなってきました。こうなると旅行会社だけでなく、大手の旅行サイト会社も利用者が激減してくることでしょう。
Expediaなどの旅行サイト会社が同じ仕入れ元で競争しているのを尻目に、全く新しい発想の旅サイトが現れました。“Airbnb”(エアー・ベッド・アンド・ブレックファースト)
というサイトで、従来の大手ホテルチェーン、モーテルチェーンは一切掲載せず、個人の住宅で一部屋、二部屋空いているところに旅人を泊めようという発想で、新しい宿泊所を開拓しました。とりわけ、一週間以上滞在するととても安上がりになるところも多く、長期滞在には打って付けです。
私たちが昨年過ごしたクロアチアの島での滞在先、貸し部屋も、都会のスプリット部屋も、このAirbnb.comで見つけました。とりわけ2ヵ月滞在した漁村の外れは、ホテルも何もないところでしたから、Airbnbに巡り会わなかったら、とてもそんな村外れで過ごすことはできなかったでしょう。
このサイトを立ち上げたのは、ブライアン・チェスキー(Brian Chesky)とジョー・ゲビア(Joe
Gebbia)という若いデザイナー(確か今年33歳だと思います)です。彼らはサンフランシスコで2008年にこのAirbnbを始めるやいなや、即大ヒットし、今では世界中どこでもAirbnbだけで泊まり歩けるほどになりました。192ヵ国(世界にそんなに沢山の国がありましたっけ)、アメリカと国交を開始したキューバにもいち早く1,000軒もの宿を確保したりで、ともかく動きが早く、急成長を絵に描いたような発展振りなのです。
逆に大手のホテルやホテル業界から苦情が出るほど盛んになり、アメリカの幾つかの都市で(ニューヨーク市も検討中です)Airbnbを締め出そうとする動きが出るほどになりました。ですが、Airbnb自体が何千、何万とある個人の部屋や家を管理しているわけでなく、あくまでその家の持ち主が州や都市の条例で規制外にあり、お客さん、旅行客を泊める認可を受けてていないことを問題にしています。突き詰めれば、その町、その都市は、ホテル、モーテルなどに科している宿泊税を取りたいのでしょうね。
Airbnbのサイトを開いてみれば分かりますが、ブライアンさん、旅行好きなのでしょう、旅行者の目から見ていますし、親身になって紹介しているとても分かりやすい綺麗なサイトを作り上げています。それもそのはずで、Airbnbの創立者ブライアンさんとジョーさん、会社を始めたのはアパートの一室で、本人たちもソファーや床に寝ていたといいますから、彼らこそ、気軽に利用できる民宿、下宿、相部屋を必要としていたのでしょうね。
Airbnbのサイトにアクセスし、まず地域と価格、時期などを設定し、クリックしますと自分の条件に合った部屋、アパートなどがゾローッと出てきます。写真も多く、地理的条件、海岸沿いだとか、町の中心部まで何メートルとか、地図も出てきます。後は、これはと思う宿の持ち主と直接メールのやり取りをして条件を交渉し、予約します。この時に、1週間とか1ヵ月だと値下げ交渉もできます。
支払いはすべてAirbnbを通じて行うので、余計な現金を持ち歩く必要がない代わり、先払いはちょっと不安でしたが、問題ありませんでした。それに、利用者のコメントが実にアケスケ、率直に書き連ねてあり、最高だった、オーナーの人柄が滞在をより豊かなものした…に始まり、お湯が出ない、余りに田舎過ぎて食料品の買い物にすら行けなかったなど、苦情もあります。
それに対して、オーナーのコメントもあり、最悪の宿泊客だった、部屋はブタ小屋同然になってしまったとか、イタリア人の若いカップル、グループはコンリンザイ遠慮願うことにした、と言うのは彼らはセックスの後始末を全くせず、壁にまで飛沫(何のことでしょう?)を飛ばし、消臭剤を大量に撒き、壁を塗り直さなければならなかった、とか書いてあります。
Airbnbは利用者から手数料として6~12%を取得し、家主さんから3%貰っています。しかし、Airbnbに掲載するのは無料です。それがこれだけ多くの部屋、アパートを開拓した秘密の一つでしょう。あなたも空いている部屋があったらAirbnbに載せてみませんか。
このAirbnbにも競争相手が現れています。Easyroommates、padmapper、
roomorama
などです。
なんだか、Airbnbの宣伝風になってしまいましたが、私たちの旅行の形態がAirbnbによって大きく変わったことは確かです。
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