第117回:当てにならない"誓いの言葉"
更新日2009/07/09
世の中に、と大きくでるまでもありませんが、意味のない"誓約"がたくさんあります。典型的なのは、選挙前の"公約"でしょうか。議員さんの"公約"がどのくらい守られ、実行されたかを、新聞社などで一覧表にしてくれると、次の選挙の時に大いに助かるのですが。
結婚式の"誓いの言葉"も当てになりません。アメリカの場合、教会で彼等が信じている神様の前で誓ったにもかかわらず、その誓いを破って離婚する人が60%のなですから、結婚相手も、神様も、式に参列してくれた人をも裏切っていることになります。
未だかって、「私たちは、神様の前で、皆様の前で誓ったけど、誓いを破り捨て離婚することにしました。すみません」というような、離婚通知を受け取ったことがありません。それに、結婚祝いのプレゼントはどうなるのでしょうか? 離婚したのなら、贈ってくれた人に詫び状を一筆入れてプレゼントを返すのがスジではないか、と思ったりします。
ウォールストリートの証券、投資会社が槍玉に上がっています。そこで働くエリート証券マンは、天文学的な給料、ボーナスを手にしながら、アメリアの経済を破壊したうえ、さらに膨大な退職金を手にしていたからです。
その悪の根源のような人間を製造しているのが、ハーバード・ロースクールやビジネススクール(大学院)です。そこを一旦卒業すると、引く手あまたで初任給2,000万円もの高給で迎えられ、エリート集団を構成します。同窓会の力も絶大で、ウマミのある要職は彼等の間でたらい回しにしていると言われています。
それじゃ、あんまり酷すぎるんじゃない、とハーバード経営学部修士課程の一学生が卒業生に"誓約"をさせるアイディアを持ち込みました。
マックス・アンダーソンという学生さんが言い出し、卒業生の約半分、800人が誓約しました。
誓約文は"最大の誠意と倫理観を持って働きます。自分の狭い視野に走り、社会を害することはしません"と至って当たり前の内容で、普通の社会人なら、"誓約"なんかするまでもなく、守らなければならない社会道徳です。それを、わざわざ卒業式の"誓約"に盛り込まなければならないことの方が異状なのですが。
とは言っても、今までが酷かったし、どうせ守られないと分っていても、そんな"誓約"を交わすことに、ほんのチョッピリ意味があるのかもしれません。
マックス・アンダーソンさんの"誓約"は、他のエリート、学閥大学にも拡がっています。
結婚式での"誓いの言葉"も60%は確実に破られるのですから、こんな"誓約"も、希望的目標くらいに軽く受け取っておくべきなんでしょうね。
薄給の上、昇給なし、賃金カットは当たり前の昨今、"社会に悪をなすことができるほどの高給が取れる要職に一度でよいから就いてみたい"というのが普通の人の本音ではないかしら。
第118回:東西公共事業事情

