第109回:大統領の人気投票ランキング
更新日2009/05/14
アメリカで大統領学と呼んでもいいくらい、歴代の大統領の評価を云々するマニアがいます。アメリカ大統領のワシントンからオバマまですべて名前を暗記している子供は珍しくありません。やっと話し始めたばかりの赤ちゃんが大統領の名前とキャッチフレーズを覚えていたりします(親が覚えさせているのでしょうけど)。
日本でも戦前、歴代天皇の名前を覚えさせられたものだと、ウチのダンナさんは言っていますが、彼自身ウロ覚えで、私の方が知っているくらいです。歴代首相の名前となると、明治維新からでも大変な数になるので、すべての名前を覚えている人は少ないと思いますがどうでしょか。どちらにしろ、あまり意味のないことですが。
意味がないといえば、歴代のアメリカ大統領で誰が一番優れていたか、誰が一番偉大であったかというアンケート調査がよく行われます。今の政治のあり方が歴史的評価にどう結びつくかという一点だけにしか価値も意味もない調査ですが、何事につけ番付けが好きなアメリカではよく行われます。
天皇誕生日のような祭日のないアメリカでは、"大統領の日"と歴代の大統領全員集合させ、1月16日、一日だけ休日にしています。そうしなければ歴代44人の大統領すべての誕生日を祭日にすると、年間44日も休日になってしまいます。毎年、その"大統領の日"によく大統領人気投票が行われます。
かなりマジメそうに、著名な歴史家を選んでアンケート調査したもの(The Complete Book of U.S.Presidents)から、新聞社がアメリカの政治経済学者132人を選りすぐって調査したもの(The
Wall Street Journal)、アメリカ唯一の全国大衆紙U.S. Todayとテレビ局が共同で行った純人気投票、膨大なアンケートを行うことで定評のあるギャロップ(Gallop
Poll)など様々なアンケートが行われます。
お堅い調査でも、単なる人気投票でも、結果はあまり変わりありません。上位を占めるのは常連のリンカーン、ワシントン、大戦を終結に導いたフランクリン・ルーズベルトの御三家です。
戦後の大統領では、原爆投下を許可したハリー・トルーマンが5位、クリントンが6位と評価が高く、常に最下位を争う大統領は15代大統領だったブキャナンと29代のハーディングです。ブキャナンは確か日本に黒船を送った時の大統領でしたね。
この最悪大統領に共通しているのは、決断力のなさ、優柔不断と圧力団体の言いなりになり、世論に弱いことです。結果、目先の人気取り政策に走り、墓穴を掘っているのです。
ハーディング大統領は、ピューリタン的気風がまだ強かった戦前に、彼の親友の娘さんに赤ちゃんを産ませ、心臓麻痺で亡くなりました。靴のサイズが14(日本式の32センチ?)だったとかで、足の一番大きな大統領としても、名前を残しました。
この二人に迫るのが43代大統領だったブッシュ(息子のGeorge W. Bush)です。スキャンダル、汚名にまみれたニクソンより人気がありません。
クリントン大統領は、モニカ・ルインスキーとのセックススキャンダルがあったにもかかわらずマジメな方のアンケート(歴史家、政治学者の)では上から6番目ですから、国の財政を黒字に持って行き、パレスチナとイスラエルに平和条約を(何回目かのですが)提携させた手腕が評価されたのでしょう。
さて、オバマ大統領は今から10年後20年後にどのようなランキングになるのでしょう。もしこのような番付けが日本の歴代の首相にあるなら、今の麻生首相、関脇くらいにはなるのかしら、それとも序二段になってしまうのでしょうか。
支持率が14パーセントでもクーデターが起らず、一国の首長でいられるのは、デモクラシーがどうにか作動している証拠だと言えなくもありません。日本のことを話しているのですが…。
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