第115回:父なき子と母子家庭
更新日2009/06/25
最近、私の身近に赤ちゃんが二人生まれました。
新しく母親になった二人は、どちらも初産でした。一人は、私の姪っ子で高校在学中に妊娠してしまい学校を中退、まだ少女の細い体に大きなお腹を抱え、ガソリンスタンドで最低賃金の仕事をしながら出産しました。もう一人は、昔からの知人で30代のバリバリの弁護士です。彼女はすれ違う人がハッと振り向くほどの美貌のキャリアウーマンです。
姪は典型的な若気の至り、あらセックスしたらできちゃったタイプで、ボーイフレンドは経済力もなく、親の元でスネをかじって暮らしており、まだ坊やのような少年です。しばらく彼女は赤ちゃんを連れ、少年の親元で暮らしていましたが、自分と赤ちゃんの将来のことを思い悩んだ末、少年の元をはなれ、高校卒業資格を取り、今学期から遠い町の大学に行くことにしたそうです。
ティーンエイジャーの姪の妊娠、出産はショッキングなニュースでしたが、それに打ち勝つ若さとエネルギーで自分の道を切り拓いて行ったのは素晴らしいことです。
もう一人の女流弁護士ですが、初めから赤ちゃんは欲しいけど結婚はしない、父親はいらないという態度をはっきり示し、相手の男性に納得させ(弁護士ですから契約を交わしたのかもしれませんが)赤ちゃんを産んだのです。
この二人に共通しているのは、初産であったことと、もう一つ父親のいない子供を育てようとしていることです。彼女たちのように、結婚せずに赤ちゃんを産む女性が急増しています。
今までのパターンですと、姪のように10代の少女が若気の至りでできちゃったケース、一度同棲したけど赤ちゃんができたと知ったとたんに父親が行方不明になり、若い少女の母親が赤ちゃんと取り残されるケースが多かったのですが、今年の調査では(U.S.
Center of Dieses Control and Protectionによる)、20代、30代のキャリアウーマンが"男なんて必要ない。いない方が良い。父親なんていなくても私一人で子供を育てられる"とばかり、あえてシングルマザーになることを選んでいるケースが激増しているのです。
昨年、アメリカで生まれた赤ちゃんの40%は父なし子です。その中でキャリアウーマンが父のない子を生むケースが2002年から2006年にかけて26%も増加しているのが目立ちます。
他の国を見ると、1980年にはオランダで父親なしで出生した赤ちゃんは4%でしたが2007年には40%にまで増え、アメリカとトップを争っています。
ついでに、離婚したり、夫が亡くなったりしての母子家庭を含めた、ともかく女手一つで子供を育てている女性の統計を調べてみたところ、アイスランドでは66%、スウェーデンでは55%、ノルウエーでは54%、日本はなんとたったの2%でした。
言い換えれば、それら北欧の国では、国が管理する官製結婚のシステム自体が崩れかかっていると言ってよいかもしれません。
社会保障の行き届いたそれらの国々では、きっと女性の権利が強く、社会的地位が認められ、父親のいない子供を女手一つで偏見なく育てることができる環境が整っているのでしょう。それとも、それらの国々の男どもは、ダンナ、父親として一緒に暮らすにはよほど頼りにならない存在なのかしら。
アメリカを含めた西欧で、家族の定義が変わりつつあることは確かなようです。 しかし赤ちゃんにとって、子供が成長していく過程において、父親の存在は、たとえ反面教師であろうと、とても大切だと思います。
結婚していない女性が出産した場合、早産が多く、赤ちゃんに障害が多いという統計もあります。一見役に立たないように見える男性でも、いるだけで妊婦や生まれてくる赤ちゃんに肯定的な影響を及ぼしているのでしょうね。
これウチのダンナさんのことではありません。念のため…。
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