第35回:Peking (6)
更新日2006/11/16
桂林へ旅立つ前に、万里の長城へ向かった。長城と一言でいっても、現存する城壁はかなりの広範囲に渡っており、中には現地の人間がそれを長城とは知らずに、崩しては持ち運んで、自分の家を建てたりしているところもあるらしい。
自分たちが向かったのは、それなりに観光地化された長城で、清代以降荒れるがままに放置されていた長城をかなり修復した場所であった。
ローカルバスに乗って約2時間半ほどで、小さな町へ到着する。そしてその町からさらに乗り合いの小さなタクシーに乗って、目的の長城へ向かうことになった。
このバスを降りたところで、この旅で初めて他のバックパッカーと連れ立つことになったのだが、このタクシーに同乗した女性二人組のうちで、スイスから来ている方がかなりの変わり者でとにかく閉口した。
長城へ着くまでの30分ほどの間、何を言っているのやらまったく的を得ない会話を延々と繰り広げ、目の前に座っているタクシーの運転手は現地の中国人なのにも関わらず、平気でいかに中国人が傲慢で低俗な民族であるかを説く。
これには参ってしまったが、長旅でおかしくなったのか、薬でラリッているのか分からない人間の相手をまともにするのは馬鹿馬鹿しいので、そのまま放置することにした。案の定、連れのカナダ人女性もこんなことには慣れっこになっているらしく、スイス人女性一人が白昼夢の大演説を繰り広げる中、運転手を含めた我々4人は無言のドライブが続いた。
-…つづく
第36回:Peking
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