■ダンス・ウィズ・キッズ~親として育つために私が考えたこと

井上 香
(いのうえ・かおり)


神戸生まれ。大阪のベッドタウン育ち。シンガポール、ニューヨーク、サンフランシスコ郊外シリコンバレーと流れて、湘南の地にやっと落ち着く。人間2女、犬1雄の母。モットーは「充実した楽しい人生をのうのうと生きよう」!


第23回:ニューヨークの惨事について私たちができること
第24回:相手の立場に…

第25回:「罪」から子供を守る

第26回:子供に伝える愛の言葉
第27回:子供の自立。親の工夫

第28回:ふりかかる危険と自らの責任

第29回:子供はいつ大人になるのか? ~その1

第30回:子供はいつ大人になるのか? ~その2

第31回:子供はいつ大人になるのか? ~その3

第32回:Point of No Return
第33回:かみさまは見えない
第34回:ああ、反抗期!
第35回:日本のおじさんは子供に優しい??
第36回:子供にわいろを贈る
第37回:面罵された時の対処法
第38回:子供を叱るのは難しい!
第39回:トイレへの長き道のり

 
第40回:私はアメリカの病院が好きだ! ~その1

更新日2002/07/12 


友だちが2人目の子供を出産した。久しぶりに見る「近く」の新生児。ああ、なんて、可愛いんだろう。力一杯泣いていても、「これだけ泣いてるのにどうしてママは何もしてくれないの!!」とばかりによりいっそうトーンがあがって声も大きくなっても、6歳と2歳を毎日相手にしている私にしてみれば、「まあ、怒っているのねえ。可愛いわねえ」とだっこしたくなる程だ。抱き上げて泣き止んだりすれば、「もうずーっとだっこしててあげるからねえ」と、気分はすっかり「おばあちゃん」。そういえば、と我が家の反抗期真っ盛りの6歳とばりばりのTerrible Two にも新生児だった頃があったことを思い出した。


1人目は日本の普通の、翌年には新築病棟が完成するという古い市民病院で出産し、2人目はアメリカ西海岸の全米でも有数に数えられる私立の小児病院で出産した。「どっちがよかった?」とよく聞かれる。私の答えは「2人目」と決まっている。当然地方の1市民病院と全米有数の私立小児病院とをくらべることはできないことはわかっている。それを差し引いてもやっぱりアメリカの病院に軍配を上げてしまうんだな。

「でも、アメリカの病院は2泊しかできないんでしょう?」その通り。2泊というより、出産後48時間くらいということなので、産む時間によっては1泊で帰ってくる人もいる。実際に私の友人は産んだのが午前1時だったので、その日は病院に1泊し、次の日の夕方には帰宅した、と言っていた。もちろん、希望すれば何泊でもできるのだが、保険がきかなくなるので1泊の代金がとてつもなく高くつく。

2泊だろうとなんだろうとアメリカの病院の方が良かった個人的な理由は主に次の4つ。

1) 検診が完全予約制で待ち時間がほとんどなかったこと
2) 検診時間は30分と決まっていて、その時間は「私の時間」でせかされることがなかったので、聞きたいことはちゃんと聞けたこと。つまり、その30分は診察してくれる人との個人的なコミュニケーションをきちんと取るのに十分な時間であること
3) 病院自体が明るく、さっぱりとしていて気持ちよかったこと
4) 出産の方法や検診の受け方に選択肢があって自分の希望通りに出産できたこと

アメリカの他の病院と言えば、ニューヨークとベイエリアの内科や歯科というくらいしか知らないが、1)と2)は私の行ったどの病院にも共通しているのでこの2点については概ね「アメリカの病院は」と言っても差し支えないように思う。

3)についてはこの病院は小児科専門病院であるので特に厳めしい感じのするものはほとんどなくて、廊下には明るい色の絵や動物の写真が飾ってあり、診察室のカーテンもパステルカラーのシャボン玉風水玉模様といった感じで、何もかもが優しい雰囲気だ。一度私が血液検査の為の採血をして貰った時、ガーゼをとめるばんそうこうを看護士のおじさんが「こんなのしかないんだけどいいよね?」と貼ってくれるので何かと思うと、スヌーピーの模様だった。

診察室にも子供を連れてくる人も当然いるわけで、おもちゃや絵本がおいてある。至れり尽せりである。実際には私は夫の会社がすぐ近くだったので(車で5分くらい)検診の度にちょっと来てもらって上の子を任せていたので実際に子供連れで行ったのは1度だけだった。会社の方も「妻が妊娠中で検診がある」というと小1時間くらいは全く問題なく出て来られたようだった。
さて、そのような中で実際にどんな診察がおこなわれ、どんな出産をしたかは次回。

(その2へ続く)

 

→ 第41回:私はアメリカの病院が好きだ! ~その2