■ダンス・ウィズ・キッズ~親として育つために私が考えたこと

井上 香
(いのうえ・かおり)


神戸生まれ。大阪のベッドタウン育ち。シンガポール、ニューヨーク、サンフランシスコ郊外シリコンバレーと流れて、湘南の地にやっと落ち着く。人間2女、犬1雄の母。モットーは「充実した楽しい人生をのうのうと生きよう」!


第33回: かみさまは見えない

更新日2002/04/04 


お風呂に入っている時、環が言った。
「井上って、どう言う意味?」
「井は、井戸、その上と言う意味」
「井戸ってなあに?」
「むむ。。。あ、プーさんのビデオであったでしょ。Wishing Well. あれが井戸」
「ふ~うん。と言うことは、たまちゃんはママが井戸の上にいた時にかみさまがママのおなかのなかに送ってくれたのね。ふうん。あんまりよくない」
「???何が?」

「だってね、ゆうたくんは春の気持ちのい~い日に、お空には雲が浮かんでいて、綺麗な日にママのおなかの中にきたんでしょ。その方がきれい」(幼稚園のお友達に雲春ゆうたくんという名前の子がいる)。
「でも、井戸のお水だって綺麗なのよ。お空の色が写って綺麗よ。ミニーちゃんのお家にも井戸はあったじゃない」(と、一生懸命フォローしてみる)。
「そっか。。。。」(納得したか??)
「でもやっぱり、春の日の方がいいなあ」(だめか。。)

「ねえ、知ってる? かみさまって、目に見えないんだよ」と、突然話題が変わる。もちろん、彼女の頭の中では繋がっている。
「そうなの?」と振ってみる。
「うん。だからね、お家ができる前に来たのはね、かっこは神様だったけど、ほんとはニセモノなんだよ」
(何の話か、頭が急回転する。あ!地鎮祭か!)。

「ああ、たまちゃん。あの人はね、神様じゃないの。神様とお話する人。神様のために働いている人だから神様じゃないの」
「神様が来たんじゃないの?」
「う~ん、あの日はね、神様に、このお家に悪いことが起こらないようにってお願いしたの」
「そっかあ。そうだよね、神様って目に見えないんだもんね」

「見えないの?」と、また振ってみる。
「そうだよ。目に見えちゃったら大変じゃない。みんな、た~くさんの人がああしてください、こうしてくださいって、みんな来ちゃうじゃない」
「そっか、そうだね」
「うん。神様はね、目に見えないの。お空の上にいるんだよ。知らなかったの、ママ?」

宗教らしきものは、お正月の初詣くらいで、特に神の存在を語ったこともなく、また、幼稚園も無宗教のところに通っている、一般的な日本人の典型であるような暮らしをしている我が家ですが、娘の中には「神様」の存在は確かにあるようです。

神様は、人間の力の及ばないような力を持った存在で(子供を宿らせるとか、願いを叶えてくれるとか)、でもそこにいることは分かっていても、目に見える具体的な存在ではない、という普遍的な「神」の認識を持っているということに驚きました。

 

→ 第34回:ああ、反抗期!