■よりみち〜編集後記

 


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更新日2008/10/02


アメリカという大国がいま揺れ動いている。世界経済にも大きな影響を与えているサブプライムローンの破綻により、国内の金融問題とグローバルな経済問題とが同じ土俵に上がってしまった状態で、世界経済に大きな打撃となる米国内の金融破たんを阻止するために米国政府が緊急支援策を打ち出したわけで、世界的な視点からすれば、世界のリーダーシップをこれからもとり続けていくための当然の打開策と考えていたわけだが、あっけなく下院議会で否決されパニック状態に陥った。世界恐慌という悪夢がちらついた瞬間だった。ショックを受けたのは、アメリカという国に対して幻想を持っていたからだろう。冷静に考えると、アメリカ人でパスポートを所持しているのは18%にすぎず、なおかつ、持っている人のうち8割近くが隣国のカナダかメキシコに行くために取得した人で、軍隊で海外に駐留するためという人も200万人以上いるとのことで、意外とアメリカ人はグローバルな感覚が希薄なことが分かる。西海岸と東海岸に集中してコスモポリタン的な世界市民の考え方は浸透しているものの、アメリカの田舎では日本がどこにあるのか興味も関心もない保守的な人々が大多数なのだ。もちろん、自分の国が世界から経済大国と呼ばれていることや世界のリーダー的存在であることに誇りは持っているだろうが、基本的には自分の支払う税金が自分のために使われることを望んでいるし、納税行為が自分に還元されることを望んでいるわけで、世界経済が悪化することで自国の経済が多少悪化しても、それほど自分の生活には影響しないと思っているはずだ。いくらブッシュ大統領が、今すぐに緊急支援策を議会で可決しなければ、世界経済を破綻させる可能性があると熱弁をふるっても、悪いのはウォール・ストリートにあるマネーゲームに興じていた大金持ちやそのシステムをでっち上げていた投資銀行や証券会社で、なぜそんな連中を救済するために血税を投入し、全く自分たちには得にもならないことに賛成しなければならないのか理解できない、または理解したくない心境なのだと思える。自分がアメリカ市民だったなら当然反対しているだろうし、もし賛成しなければならないのであれば、せめてマネーゲームで巨額の富を築きあげ、さらに政府からの支援策に便乗して生き残りを図ろうとしている恥知らずな経営者や役員たちを徹底的に追い落とし、税金が無駄に使われないシステムをつくることを条件にしたいと思うだろう。
いま、アメリカだけでなく世界中の人々は、寺島実郎氏の言葉を引用するところの「悪知恵資本主義」に辟易しているのではないだろうか。サブプライムローンのシステムやデリバティブ(商品先物取引)による石油の高騰や穀物の高騰など、実体経済とは違った仮想経済でのマネーゲーム化現象を起こし、大金持ちや投資家の博打のために実生活に影響を及ぼすような経済活動に嫌気がさしている。日本でもホリエモンや村上ファンドの事件で注目されたマネーゲームだが、やはり一般市民にとっては違和感だけが印象として深く残っているはずだ。株で大儲けすること、汗をかかないで大金を得ることがすべて悪いこととは思わないし、少なくとも誰でも考えるひそかな夢ではあるのだが、それはあくまでもギャンブラー的なあこがれであって、そこには生活感もなければ人生の教訓とも関係しない、無機質な数量だけで判断する世界に入り込んでしまうのだと思う。それでも大金持ちや一攫千金の投資家がいる限り、マネーゲームは姿や形を変え新しいシステムをつくり出すのだろうな。人間は懲りない動物である。(

 

 


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