第166回:アメリカでの大流行が日本に届かない!?
アメリカで流行ることは、3日後には日本でも大流行する…と言われています。大流行とまでいかなくても、アメリカにあって日本にないものはチョット頭を絞らないと出てきません。とりわけ、スポーツとポップカルチャーの分野では、一体どちらがオオモト、真打なのか分からないくらい流通が早く、もう3日などではなく、即時と言ってもいいくらいです。
日本には根強いカントリーソングのファンもいますし、ブルーグラス、ケージョン音楽のマニアもたくさんいます。ヒップホップ、ラップ、ハードロック、メタル、テクノ、はてまた、ラテン音楽でもサルサ、タンゴ、メレンゲ、マリアッチ、チカーノとアメリカにあるものは日本に何でもあり、それぞれの分野でのミュージシャンも本場をしのぐ水準に達しています。
とはいえ、チェリ・ケーギー、アッシュモント・ヒル、ケリー・ミンター、リレント・K、サンデー・パティの名前を知っている日本人はどのくらいいるかしら。よほどのポップ音楽好きでも耳にしたことがないでしょうね。でも、彼らはいずれもアメリカでミリオンセラーのCDを出し、最近ではあまり聞かなくなったけれど、ヒットチャートでCD、ダウンロードの売り上げトップ10に入る大人気の歌手なのです。
これはニュークリスチャン音楽と呼ばれている分野で、人気歌手はNHKホール顔負けの大ホールではなくて、教会ですね、そこで朗々と歌い、引っ張りだこなのです。そして、お帰りの際には、信者同士のプレゼントにももってこいというわけでしょうか、CDを買ってもらい、これが馬鹿に売れるらしいのです。
もともと、教会で演奏される音楽が大きな影響力を持つのは、バッハ以来の伝統です。黒人霊歌を得意のレパートリーにする日本の合唱団はたくさんありますし、ウイーン少年合唱団は変声期前の子供をトレーニングし、いったい幾つのウイーン少年合唱団が全世界に同時公演をしているのか分からないほどです。
アメリカのほとんどの教会でも賛美歌を歌います。最も有名なのはモルモン教のタベルナック合唱団でしょうか。田舎の小さな教会でも、それぞれ、喉自慢、腕自慢がピアノ、オルガン、フルート、リコーダーを特別演奏します。教会は一つの大切な音楽培養の場所なのです。アメリカのポップ、ジャズ、ブルースのシンガーで、なんと多くの人が若い時に教会で歌っていたことでしょう。
もう一つ、アメリカにあって日本に極端に少ないものは、FM放送局です。FMは電波が届く範囲が狭いので、チョット距離が離れると干渉せずに電波を送ることができます。 どんな田舎町にも幾つもFM局があり、大きな町になると100局以上は優に放送しています。新聞によく、FM放送局売りたし、などと三行広告が出ていたりします。夫婦でやっている局、特定の音楽分野のオタクが寄り集まってやっている局などがたくさんあります。当然、様々な教会も自分の局を持っていて、説教だけでなく、ニュークリスチャン音楽を盛んに流しています。
ちなみにトップ3を挙げると―
1位 Who am I(私は誰でしょう?) Casting Crowns
2位 How great is our God (我が神はなんと偉大なことよ) Chris Tomlin
3位 I can only Imagine(ただ想像するのみ) Merry Me
となります。
日本に伝わり難いアメリカ文化もあるのです。でも、こんなニュークリスチャンシンガーから、第二のマイケル・ジャクソン、マドンナが出てこないとも限りませんよ。もっとも二人ともローマ法王庁や保守的な教会からはえらく嫌われていましたが…。
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