■新・汽車旅日記 ~令和ニッポン、いい日々旅立ち 第753回「鉄道スクエアと黒壁スクエア - 長浜駅 -」 旧長浜駅舎の内部は出札口や1等2等待合室が残されていた。鉄道と船が分単位で乗り継げるはずもなく、旅客はこの駅で列車あるいは船を待った。暖炉もしつらえてあり、冬の寒さを物語る。駅長室も当時としては立派な部屋だったはずだ。なにしろ国家事業の鉄道である。駅長は高級官僚だろう。しかし座ってばかりではいられなかったようで、当時の北陸本線、柳ヶ瀬駅まで7駅の駅長を兼務し、列車に乗り込んで切符の木札を売っていたという。明治時代が始まったばかりで通貨も新旧あり、天保銭、文久銭、一厘銭が混じっていた。売上の集計も複雑だったという。身体と頭脳を駆使した初代長浜駅長高橋善一氏は、その働きが認められ、初代東京駅長に任命されている。長浜駅舎とつながる長浜鉄道文化館は、北陸本線などの歴史解説の展示が興味深い。開業当時の長浜駅の模型があって、線路は行き止まり、駅舎から桟橋までのつながりがわかる。行き止まった線路の先は空き地になっていて…
杉山 淳一 バックナンバー
2026/01/15掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第518回「流行り歌に寄せて No.313 「うそ」~昭和49年(1974年)1月25日リリース」 中条きよしと聞いて、真っ先に思い出すのは『新・必殺仕事人』の三味線屋の勇次である。三味線の糸を操り、相手の首を締め上げる殺し技。後れ毛が艶かしいクールな風貌。三味線屋であり、また三味線と端歌などの師匠もしており、夜になれば日ごと女遊びに出かける。それでいて、山田五十鈴演ずる「りく」という名の母親を、心の底から慕っている男でもある。実に艶のある役柄で、女性ファンには堪らない魅力があると思う。男の私も、「うん、これは」と深く感心し、唸りながら観ていたものだ。あの演技。彼は歌手よりも、元々役者志望の人だったからできたのだろう。郷里の岐阜市の岐阜東高校の商業科を中退後に、船乗りとして働いていたが、どのような経緯があったかは分からないが、その後、役者を目指し大阪の劇団に所属する。劇団の公演中のことだろうか、ある時、プロの歌手の前座で歌う人がいなかったため、ピンチ・ヒッターとして歌ったところ…
金井 和宏 バックナンバー
■西部夜話 ~酒場サルーンと女性たち 第23回「酒場サルーンと女性たち その23」 ■デッドウッドの金髪の女王、モーリー・ジョンソン 西部史を語る上で欠かすことができない無法の町、デッドウッドには、最盛期に2万5,000人からの人が住んでいた。極言すれば、その90%は一攫千金を夢見る男どもだったと言って良いだろう。一体何軒のサルーン・バーがあり、明確に娼婦の館と銘打った娼館が何軒あったのか正確な統計はない。と言うのは、開店創業し、その2、3ヵ月後に潰れたり、火災にあったりで、ともかく目まぐるしく変わっていたからだ。このようなブームタウンは流動性が激しく、ましてやインディアン居留地内にあるデッドウッドにあっては、法的規制もないに等しく、力すなわち暴力と金だけがすべてだった。全くの想像だが、サルーン・バーは20軒、娼館も10軒は下らなかっただろう。ここに登場するモーリー・ジョンソンは、前回書いたドーラのライバルだった。ドーラの方は娼婦上がりとはいえ、もっぱら娼館のマダムとして綺麗どころの娘たちを上手に使ったのに対し…
佐野 草介
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■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第930回「山に書かれた大文字」 山に囲まれた町から毎日それらの山々を眺め暮らしている人々が、山に対してある種の神秘的な自然信仰に似た感覚を持つのは当然のことでしょう。 有名なのは京都、東山の“大”文字で、周知の通り書き順通り火が灯され夜空にくっきりと浮かび上がります。一方如意ヶ獄の“大”の文字はいっぺんに燃え上がります。その他、京都五山、北山の“妙”“法”“舟形”“舟形”“左大文字”そして、北嵯峨の“鳥居の型”と灯されます。これらの火文字は、仏教の野辺送りと関係がある、古い伝統だそうですね。アメリカにも山に巨大な文字を書くことがあります。主に、西部の山間にある町でのことですが、地元の高校の愛称のカシラ文字を岩山の山腹に大きく描くのです。山といっても、ここらのロッキー山脈の間にある村や町には木に覆われていない、岩山、小高い丘があり、その斜面に多くの場合は町のカシラ文字を山肌とは異なった色の石を並べて書くのです。それは地元の高校生が動員され、余暇で作り上げます。私たちが毎年行くスキーの基地にしているサライダという町は …
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■鐘を鳴らそう 鳴らせば鳴る鐘が、まだあるのだから ~音羽信の心に触れた歌たち~ 第16回「ギミー・シェルター by ザ・ローリング・ストーンズ」 たしかに戦争は、たった一発で始まる。いつだってそうだった。ちょっとしたアクシデントからだろうと、頭に血が上ったバカの一発だろうと、敵の攻撃に見せかけて戦争屋が仕掛けたデッチ上げの一発だろうと、誤射だろうとなんだろうと、戦争は一発で始まる。そして始まったらもう、終わりは見えない。興奮したバカどもが仕返しを叫び、理性は吹っ飛び、双方の爆撃が始まる。街が燃える。なんの関係もない人々が殺される。待ってましたとばかりに在庫を一掃して戦争屋が儲ける。炎の中で子どもが死ぬ。母親たちが泣き叫ぶ、憎悪が憎悪を生み、さらに人が殺される。殺すのは人、殺されるのも人。普段の人間の感覚などぶっ飛んで全てが狂う。街が住居が崩れ落ちる。戦争には善も悪もない。あるのは敵と味方だけ。敵に対する憎悪ばかりが急増し、街が焼け、住まいを失い身内を失い何もかも失ってしまった絶望や恐怖が新たな狂気や暴力や非道をうむ。人間が人間を殺し殺しあう非道な戦争の中では全てが狂う。
音羽 信
■よりみち~編集後記 2026年の「のらり」初更新ということで、どんな一年になるのか考えてみようとするのだが、日本はもちろん世界でも世の中の流れが速すぎて思考が追い付かないと言うのが本音のところだ。元旦からの世界と日本の動きをまとめてみた――15日間の世界の情勢をウォッチしてみて、いきなり1月3日の米軍によるベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領夫妻の拘束には正直驚かされた。まさか本気でやるとは誰も思っていなかったので、衝撃的だった。国際法でも国連憲章でも完全に違法な攻撃であり、トランプ以前に実行していたなら、とんでもなく批判され国際裁判になっていた可能性もあるはずだが、アメリカ最優先を公約にして大統領に再選されたトランプがやることは、もう誰も止められない暗黙の了解となっており、1823年という今から200年も前のモンロー大統領の教書に立ち戻ってアメリカの帝国ナショナリズム復活を宣言したような状況に陥っている。これは明らかに狂っているとしか言いようがないのだが、トランプ・マジックで、アメリカ最優先のためだからしょうがないとでも国民は思っているのでしょうね。当然のことですが、アメリカの属国…
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