第220回:一日をより長くゆったりと過ごせる夏時間
夏時間、“Summer Time”と聞くと反射的に思い浮かぶのは、ガーシュインが作曲した『ポギーとべス』の中の名曲です。なんと多くの歌手が思い入れを込めて、南部の湿った夏のけだるさを唄いあげたことでしょう。その中でもジャニス・ジョプリンは他の歌い手とは全く違った唄い方で、私たちに強い驚きと感銘を与えてくれました。
毎年、アア今年も春になったなと感じるのは、冬時間から夏時間に変わってからです。
Summer Time、夏時間はヨーロッパのほとんど国と同様に、アメリカでもほとんどの州が採用しています。へそ曲がりないくつかの州だけは1年中同じ時間を使っていますが、最初から、アメリカ国内には、アラスカを入れると5つの時間帯がありますから、東へ西へとチョット長距離ドライブをすれば、時計の針を1時間進めたり、遅らせたりしている私たちにとって、時間変更は日常茶飯ごとです。
冬時間から夏時間への切り替えなんて、日本で騒いでいるような大事ではなく、実に簡単なことのように思います。
アメリカ国内で夏時間を止めようという運動は聞いたことがありませんから、広く自然に受け入れられているのでしょう。
私個人は夏時間が大好きです。1時間だけでなく2時間くらいズラシてくれても良いと思っているほどです。何が良いかというと、まず朝、太陽が昇ると同時……とまでは言いませんが、朝日が柔らかく、強い夏の日差しに変わる前に、朝のすがすがしさをたっぷり味わえることです。これぞ、『早起きは三文の徳』どころか、ミリオンダラーの価値があります。
そして、涼しいうちに車で通勤できるので、車のエアコンを使わずに、窓を僅かに開けるだけで気持ちよくドライブできます。
それから、仕事ですが、今回は仕事の話は抜きにしましょう・・・。
何よりいいのは、夕方仕事を終え、7時頃、山の家に帰ってもまだ陽がたっぷりあることです。6月、7月には9時まで明るいので、ほとんど毎晩、夕食は木の下にテーブルを置き、外で摂ることができます。
夕焼けを見ながら、小鳥のさえずりを聞きながら、ゆったりとしたひと時を過ごすことができるのです。これが最高の楽しみになっています。
夏時間のおかげで、一日をより長くゆったりと過ごすことができるのです。
ウチのダンナさんの実家に夏帰った時の大きな挑戦は、時差ぼけ、そして、朝早くというより、まだ夜の延長と言ってよい午前3時半頃、窓が白々と明るくなってきて、寝ていられなくなることです。
日本でも北の北海道のことですから、余計早く陽が昇るのでしょう、それにしても3時半は夜の勢力範囲です。
太陽にもう少し遅く出てくれと注文をつけるわけにはいきませんから、社会の動きをチョットずらすしかありません。実に簡単なことなんですが、人間は習慣の動物ですから、新しい習慣を受け入れるのは、大変なことなのでしょうね。
でも、人間も動物です。しかも夜目の効かない昼行性の動物なのですから、できるだけ太陽の動きと同調して生活したほうが、自然に近づき、良いリズムで暮らせると思います。
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