第315回:ショッピングモールと駅前商店街
数年前のことになりますが、昔住んでいた吹田市を訪れたことがあります。30年近く経っていましたから、変るのはアタリマエといえばそうなのですが、毎日駅から歩いて通った道を辿って、借りていた家まで行こうとしたのですが、あまりの変りように途中で迷ってしまいました。
一番ショックだったのは、駅前の商店街の半分以上が閉鎖されていたことです。毎日そこを歩き、威勢のよい掛け声で果物や野菜を売っていた八百屋さんも、乾物屋さんも、当時から余りはやっているようには見えなかった洋品店もなくなっていました。 代わりに、コンビニが2軒できていました。駅前の商店街は、日本の街を特徴付けるその町の色というのでしょうか、風物なのですが、やはり時代の波には勝てなかった……のでしょうね。
そこへ行くと、車社会のアメリカは郊外にあるショッピングモール一本槍です。どこの町に行っても、規模の大きさこそ違いますが、中に入っているお店はあきれるくらい同じで、"シアーズ""メイシーズ""JCペニー""ヴィクトリア・シークレット"というセクシーな下着屋さん、靴は"フットロッカー"、宝石屋のチェーンと、フロリダの田舎町もノースダコダの村のショッピングモールも同じ店です。
それに、最近流行っている"ファクトリー・アウトレット"が同じコンパウンドにあったりなかったり、そして周囲にあるファミリーレストランも、まるで判で押したように同じなのです。
地元のお店がモール内に支店を出している例はまずありません。また、レストランがその土地にある食材を生かして、土地の人の嗜好を考慮する…なんて思考回路は絶無らしく、焼けるように暑い気候のニューメキシコも、年中シバレっぱなしのようなモンタナ北部の町でも同じメニューを出しています。
このような傾向は、嘆くべきと言って良いと思いますが、ショッピングモール全盛の傾向はアメリカだけだと思っていたところ、なんと日本でも大盛況で、大手の"イオン"が、これまた大手の"ダイエー"を合併吸収し、年間の売り上げが6兆円を超える勢いだというのです。
札幌郊外のモールの一つしか行ったことがないのに偉そうなことを言わせて貰えば、アメリカ並の広大な駐車場を備え、そこに行けば、買い物・食事、そして子供を遊ばせる設備まであり、一日ゆっくり過ごせるように、そしてたっぷりお金を落とすようにできており、初めてかつ唯一の日本ショッピングモール訪問だったせいか、アメリカのモールより細かい神経が行き届いていて、ツイツイ散財してしまいそうにできている…と感じました。
一旦そこに入ったら、必ず何か散在させるぞ…という意気込みがあるように思えます。 アメリカも見習わなくては……。
ともかく、ショッピングモールは疲れるところです。
でも、いつも威勢のよい掛け声が響き渡る吹田の駅前商店街の八百屋さんはどこに行ったのかしら? 時々ミカンを2、3個おまけしてくれたお兄さんは、どうしているのかしら? と思わずにはいられません。
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