第564回:再犯防止のための『性犯罪者地図』
最近、アメリカはセックス・ハラストメント、強姦などが全盛の感があります。映画の大物プロデューサー、女子体操の担当医、数々の賞をもらい尊敬されている俳優、テレビのホストなどなど、数え上げたらきりがありません。もっとも、大統領が先頭を切ってポルノ女優とスキャンダルを起こす国ですから、当然だと言えるのかもしれませんが…。
セックスに関わる犯罪者は、相当高い確率で犯行を繰り返すことは統計が示すところです。アメリカでの近親相姦は、同居している少女、幼女に対して起こる例が100パーセント近くで、男親、叔父、祖父などが犯行を繰り返しています。
私の働いている大学のある町で12歳の少女が行方不明になりました。それが、私たちが元住んでいた家のすぐ近くで、彼女が通っていた小学校は、私たちの家の斜め向かいだったのです。彼女の家も、コロラド川沿いの散歩に出かける通路にあります。彼女の家から小学校まで、恐らく300メートルほどの距離しかないでしょう。彼女は、学校の帰りに忽然と消えたのです。
当初から、警察は彼女と同時に消えた義理の父親を容疑者として追っていました。案の定、彼女は義理の父親に連れ去られ、百数十キロ離れたモーテルにいたところを4日後に救出されました。
この事件などは典型的なアメリカの義父と連れ子(少女)の事件です。離婚再婚が当たり前で、1回の再婚でなく、それが3回、4回となると、母親が連れてきた子供の父親は一体何番目の夫だったのだか、結婚外での子供なのか、至って複雑になってきます。
再婚した男性にとっても、妻になった女性が、いきなりイイ年の少女を連れてきて、一緒に住み始めると、血迷うことがあるのでしょう。アメリカに近親相姦が異常に多いのは、離婚、再婚が当たり前になり過ぎているからでしょう。
それにしても、アメリカで性犯罪が非常に多いのは事実です。
『性犯罪者地図』(Kids Live Safe:http://kidslivesafe.com)というのがインターネットで公表されています。性犯罪者が刑を終え、牢屋から出てきても、決められた期間(場合によっては生涯)、再犯者は警察に出頭し、近況を報告し、明確な住所を届け出なければなりません。犯行を重ねるのを防ぐためです。
チョット人権問題になると思うのですが、一度でも性犯罪を犯したものは、一生、どこへ行っても警察に所在を届け出なければならないこともあります。マア、それほど性犯罪が多く、そうでもしなかったら再犯を防げないのでしょう。裁判で下された判決通りの刑期を終えた後にも、そのような社会的制裁が付いて回るのです。
おまけに、彼らがどこに住んでいるのか一目で分かるように、そこには近づくなとばかり、地図に赤いドットマークを打ったのを誰でも見ることができます。試しに、私の大学の郵便番号を入れて、そこから2マイル以内に住んでいる性犯罪者を覗いたところ、なんと401人もいたのです。これでは、お腹をすかした狼がワンサといる森の中で暮らしているようなものです。
今学期だけで、私が受け持つ授業で二人の女学生が強姦被害に遭っています。それも、私に相談に来たから知ったことで、1万人以上いる学生全体でどれほどの数の犠牲者がいるのか、想像するだけです。というのは、こんな事件は大学の宣伝になりませんし、きちんとした統計も出さないのです。どこの親が、強姦率の高い?大学に自分の娘を通学させるものですか。
被害に遭った彼女たちの苦しみは、傍で見ていても、身を切られる思いがします。
日本では考えられないことですが、アメリカの多くの大学キャンパス内に警察が常駐しています。キャンパス内で学生さんが起こす、主にお酒を飲み過ぎて暴れたとか、公認されているマリファナ以上に強力なメスインフェデミィー、ヘロイン、コカインをやっていたとか、学内での自転車泥棒を探すとか、小さな事件に対処するためです。
強姦の被害者は真っ先にキャンパスポリスに届け出るのが本筋です。私もそのように彼女たちに勧めました。ところが、まず最初に、警察が彼女たちに質問するのは、被害に遭った時、彼女たちがドラッグをやっていたかどうか、どの程度アルコールを飲んでいたか、どんな服装をしていたかで、学生仲間のパーティーに加わる以上は、強姦される危険性があり、デイトレイプの被害者になるのは当たり前だと言わんばかりに扱われると、泣き崩れていました。
そして、彼女たちが最も嫌がる検診があります。これはエイズ、性病をうつされたかどうか、妊娠してしまったかどうかを検査するのですから、とても大切なことだ…と分かるのですが、屈辱的な姿勢を取らされ、検診されるのは、もう一度強姦されたような気持ちになると訴えています。
キャンパスには強姦の被害に遭った女性のためのカウンセラーがいます。どれほど彼女たちの役に立つか分からないまま、私は彼女たちにカウンセリングを受けるように勧めています。彼女たちに必要なのは、思いっきり泣き、彼女たちに起こったことのすべてをぶちまけることができる聞き手なのでしょう。
-…つづく
第565回:“風が吹けば桶屋が儲かる”_ Kids for Cash
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