■Have a Nice Trip! ~そしてまた、新たな旅が始まる…

安田 修
(やすだ・おさむ)


1958年、神戸生まれ。ルポライター、JTB 系広告代理店(マーケティング・制作)等を経て、現在はフリーとしてライターや出版企画などのプランナーとして活躍する。世界の辺境が大好きな現役バックパッカーで、ネットサークル「海外に住もう会」を主宰している。世界各国の移住情報や長期旅行の情報をまとめた「海外移住情報」をネットで公開中。
著書『日本脱出マニュアル』



第46回:ルーマニアのドタバタ劇
第45回:エストニアの日本料理店
第44回:ギリシア、アテネのさんざんな一日
第43回:ロシア、モスクワ空港警察官の小遣い稼ぎ
第42回:メキシコシティのナイフ強盗
第41回:オーストラリア、ゴールドコーストのツアーガイド裏話
第40回:インド、ダージリンのイメージと現実
第39回:中国、大連の国家安全局員
第38回:キューバ、ドルの威力
第37回:チリ、イースター島の日本伝説
第36回:テニアンの日本人
第35回:ベトナム、スリの女の子

第34回:ハンガリー、温泉にはまるツーリストたち
第33回:コスタリカ、ニ人の17歳の女の子
第32回:グァテマラ、アンティグアの主産業はスペイン語学校




■更新予定日:毎週木曜日

第47回:インドネシア、素朴なロンボク島

更新日2003/02/13


ロンボク島はバリ島と隣接するインドネシアの小さな島だ。最近は訪れる観光客も増えたものの、観光客で溢れかえるバリ島と比べて、まだまだ素朴な日常生活と触れられる。

そんなこともあって、観光客の多いメインリゾートエリアの“スンギギ”を避けて、市街地の“マタラム”に滞在することにした。

空港から市街地まで歩いてもさほどかからない。通りすがりの人たちに「安くていい宿はないか?」と聞きながらブラブラ散策するうちに、誰もがすすめる華人経営の宿にたどり着いた。

ロンボク島の物価はバリ島よりかなり安く、バリ島の安宿・ロスメンに泊る予算で、エアコン付・テレビ付・ホットシャワー付の快適な部屋が確保できる。

「このホテルに日本人が泊るのは初めてよ。観光客はみんなスンギギに泊るから…。安くしてあげる。隣の部屋にはフランス人の夫婦が長期宿泊しているから、後で紹介してあげるわね」

こう話す中国系の美人マダムの他にも、やや色が黒く、髪の毛が縮れている人が多いローカルスタッフも日本人に興味津々。「仕事が終わってから、島を案内してあげる」という誘いの連続。もちろん無料…。なにかとお金が絡むバリ島と違って、純粋な善意がとてもうれしい。

言葉に甘えて、ロンボク島の沖に浮かぶ小さな島々へのアイランド・ホッピングに連れて行ってもらった。透明度がいいとは言えないバリ島とは違って、ロンボクの海は底まで透けて見える。

しかし、なんといってもロンボク島の楽しみ方は、レンタルバイクを借りて自由に島を走り回るのが一番だ。地元の人の交通手段、ベモ(乗合のミニバス)に乗ってあちこち行くのも楽しいが、バイクで走り回るといろんな出会いと遭遇できる。

島はバイクで一周しても2、3時間。バリ島よりも暑く陽射しが強いために、バイクで風をきるのは爽快感でいっぱい。なによりも、走っていると通り過ぎる人たちの多くが手を振ってくれるのがいい。恥ずかしそうに手を振る小さな村の主婦たちの姿がとても新鮮だ。途中、あちこちで休憩していると、いつの間にか周りに輪ができてしまう。

またバイクで走っている途中、ツーリングしている島の若者三人と知り合った。男の子のバイクと女の子の二人乗りバイクの2台だった。

「私たちはこの島に住んでいるの。今日は休みだから、仕事仲間の友だち三人で島を一周しているのよ。バリ島に行けば、仕事も多いし、お金もここで働くより多く貰えるけど、バリ島には行きたくないわ。昔とあまり変らないこの島が好きなの。今日はずっと私たちと一緒に回りましょうよ」

こう話す二人人乗りの後部座席に乗っていた女の子の笑顔がとても魅力的だった。バイクの運転ができないらしく、いつの間にか私のバイクの後ろに乗っていた。 夕方、そろそろ陽が沈もうとする時間になり、みんなでこの女の子の家に行った。

「何もないけど、夕食を食べていってね…」
出てきた料理はロンボク特有の香辛料をふんだんに使ったものだった。バリ島に隣接しているものの、文化や風習がロンボク島固有のものとなっているのもとても魅力を感じた。

 

→ 第48回:モロッコの女性たち