高く茎を伸ばしたユリ。
道路と畑との際に、高く、人の背よりも高く茎を伸ばし
あたりを遠くまで見渡すような、あるいは
どこからでも私を見てと言っているかのような一本のユリ。
香りも強く、もちろん人の目も惹きつけるけれど
虫たちにとっては、見つけられないはずがないほど大きな花。
でも何だかあまりに気高すぎて、近寄るのをためらったりは
虫たちは、しないのか、どうか……
白いユリは西欧ではマリアさまの純潔の象徴(シンボル)
とはいえ、ユリは色によって印象がいちじるしく変わる。
たとえば、すべてを誘い惑わすかのような紅い鬼ユリ……
日本では、歩く姿はユリの花、と言われてきたけれど
風に揺られて美しさを振りまくその姿は、きっと
後ろ姿のことなのだろうなと、なぜか想う。