雪柳。
石垣の隙間から芽を出し
花をつけた雪柳。
何本もの細い枝を
身を寄せ合うようにして長く伸ばし
その上に白い花を咲かせる雪柳。
枝が柳のようにしだれていてこその雪柳。
その上に季節外れの雪のような花を載せてこその雪柳。
なのにこんなところでたったひとりで。
なにもこんな固い石垣の隙間から……
しかもまっすぐ上を向いて。
でももしかしたら、ここでこのまま大きくなって石垣を崩し
いつの日か、瓦礫のようになったその上におおいかぶさるようにして
一群の、雪のような花を咲かせることだってないとはいえない
雪柳。