刈り取られた牧草。
現代アートかと思うような鮮やかな白と、その配列。
背景には深い緑と、裸の幹だけになった木、なぜか枯れそうな竹。
それにしても伸び放題になっていた草が牧草だったとは気づかなかった。
草を食べて牛や馬や羊の体ができるという不思議。
この草で、誰がどこで何を何頭、養うのだろう。
きれいに袋詰めにされているところを見れば
どこかに運ばれて行くということなのか……
以前、フランスあたりのどこまでも続く放牧地に
巨大な袋がポツリポツリとあるのを列車の窓から見た。
それと似たような景色を、いつも通る道端で目にした驚き。
なのに、次の日の朝にはもう消えてしまっていた大きな白い袋。
たちまち混乱する記憶、もしかしたらあれは幻……?
そうか梅雨の前に刈り取ったんだ、と思ったのは、それから少し後だった。