五月の薔薇。
花芯が淡いピンクの
それを白い花弁がとりかこむ
まるでお手本のような薔薇の花。
無数の物語に謳われた薔薇。
あるいは女性にたとえられてきた薔薇。
美しさと儚さ、硬い蕾と惜しげも無く開いた花の華やかさ。
しかも枝には棘までつけて。
薔薇はイングランドやフランスに
あるいは、宮廷や騎士や乙女にこそ相応しいとなぜか思う。
もしかしたらそれもまた、詩や物語によって付与されたイメージ ?
どこで咲いても薔薇は薔薇。
けれど五月に咲く薔薇と、それを植えた人との間には
秘められた物語がきっとあると、なぜか感じる五月の薔薇。