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すでに秋学期。今学期のHuman Evolution(人類進化)の先生は白髪でヒゲをはやして、いつもサスペンダーのバンツで、腰には革のナイフケースがある。ちょっとインディー・ジョーンズ歳とった感じのおじさん。厳しい先生なので、しっかり勉強しないと!このコースではダーウィンの進化論から始めて生物学へ入って行きます。その前に大きい流れを頭に入れておこうかな。 進化論の大家、ダーウィンの時代は1800年代だけど、地球上生命の始まりはケタが違う。35億年以上前!一体35億年前に誰がどこにいたのぉ? 「わしじゃー、こっちじゃよー、小さくて見えんかのう。身長は数ミクロンから10数ミクロンといわれておる」 1ミクロンが1/1000ミリですから、塵のようなものですね。ところで誰ですか? 「失礼な。化石で確認されている最古の生命、原核生物、その名はシアノバクテリア。水中に住む細菌だ。今でも田んぼとか海で生きとるんじゃ」 すごいですね。現在もまだご健在。その当時の話を聞かせて下さい! 「まだバンゲアっちゅう一つの大陸しかない頃じゃ。大陸移動はそのずーっと後の話じゃ。海の水も空気も今とはだいぶ違った。とにかく酸素がなかったのだぞ」 ?!? 「驚いたか、カッパめ。しかもわしらはその後の生物の出現になくてはならない酸素を光合成をすることで長いことかけて豊富に用意したんじゃ。ちなみに今ある酸素も全て植物の光合成によって出来ているんじゃよ」 知らなかったゲコ。あんまり森林伐採しちゃうと酸欠になっちゃう!? あのー、シアノバクテリアさんはどうやって生まれたんですか? 「わしにもわからん。けれど研究者たちはいろいろ言うとる。当時あった化学物質を揃えて電気の衝撃を与えると生命の基本であるアミノ酸が生まれた実験から、海中の成分が雷などを受けて生命ができたとする『オーガニック・スープ説』。また賛否両論じゃが、ある隕石のなかにアミノ酸が含まれていたことから、生命の源は宇宙から届いたのではないかなどというSFのような『パンスペルミア説』なんちゅうのもあるんじゃよ」 宇宙人を探したりする人がいるけど、自分たちが宇宙人かもしれないんですね! 私は宇宙カッパ。そうそう、私、生命の歴史を勉強するにあたって、大まかな流れを頭に入れておきたいんですけど、教えてもらえますか? 「ふふん、君は数字の苦手な文系カッパだな」 ずばりゲロ。 「それでは地球誕生から今日までの約45億年の歴史を1年間のカレンダーに置き換えてあげよう。つまり初日の出が地球誕生ということじゃ。すると1日が約1200万年という計算となるわけだ」 1月1日太陽系誕生 2月17日 隕石の地球爆撃終了 3月20日 わし(原核生物)のお誕生日 7月22日 空気中の酸素充分になる 11月17日 最古の多細胞生物化石、エディアカラ群出現 11月28日 初の陸上植物 12月13日 大量絶滅-ペルム紀末絶滅 12月21日 恐竜誕生 12月27日 恐竜絶滅 12月31日午後8時45分 氷河期開始 12月31日午後11時45分 ヒト誕生 ありがとう、シアノバクテリアさん! なんと私たちの誕生は大晦日のカウントダウン寸前だったのですねえ。恐竜は一週間だけど、15分のヒトの歴史と比べたら莫大な時間! それにしてもラスト15分でいろいろやっちゃいましたねえ。戦争とか革命とか発明、そしてまた懲りずに戦争といっている。さてそろそろカッパは授業に行くのであります。
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