坂本由起子
(さかもと・ゆきこ)

マーケティングの仕事に携わったあと結婚退社。その後数年間の海外生活を経験。地球をゴミだらけにしないためにも、自分にとって価値のあるものを探し出したいと日々願う主婦。東京在住。

バックナンバー

第5回:便利なお米は地球に優しい

日本ならではのアイデア商品というのはたくさんある。最近は、企業イメージ向上のためだったり、新しく環境に関する法律ができたこともあってか「省エネ」や「エコロジー」と名のつく商品が一気に増えた感がある。そんななか、今年から我が家の定番に仲間入りをしたのが「無洗米」だ。

その名の通りお米を研がなくてもいいという、なんとも便利な商品だがご存じだろうか。最近のテレビCMで一躍その名を広めたこともあってか、ここのところ売れ行きは順調に伸びているらしい。家庭だけでなく、企業の社員食堂や学校給食、外食産業の業務用としても使われはじめているとも聞く。まだ使ったことがない人もひょっとしたらすでにどこかで食べているかもしれない。

昔からお米は研ぐものと決まっていた。そもそもなぜお米を研ぐのかといえば、精製した白米の表面に付いているヌカを洗い落とすためだ。それならば初めからヌカがついていなければ研ぐ必要もないではないか。無洗米はこんなシンプルな発想から生まれた。

しかし、これだけだったら簡単便利なお手軽商品で終わってしまう。それはそれでいいのだが、手抜き家事をしていると思われては主婦のプライドもちょっと傷つく。手抜きではなくて時間の節約だ、でもやっぱり研いだ方がおいしそう…などと、あれこれ思っていたこともあって最初は無洗米を敬遠していた。ところが調べてみると、じつはこれが人にも環境にも優しく、文句なしのいいことづくめであることがわかった。エコロジーという言葉に弱い私はグッときてしまった。その理由は6つあった。

1──簡単に炊ける。お米を出してお水を入れて炊飯器のスイッチを押すだけ。忙しい人や子供もですぐご飯が炊けるのだ。

2──水が節約できる。普通にお米を洗うとき、米量の10~30倍の水を私たちは使っているそうだ。

3──排水が少ないので環境にやさしい。実はヌカを排水として流すと、下水処理施設で処理しきれないため環境汚染の原因のひとつになっていたらしい。

4──雑菌が少ないので虫が付きにくい。

5──残留農薬の心配がない。農薬はヌカに付着しているので取り除かれてしまえば心配もない。

6──大量に取り除かれたヌカは再利用されている。栄養たっぷりのヌカは園芸の肥料として商品化されている。

排水として流してしまうと環境汚染なのに土に返すと栄養になるとは。 一番気になるのは味だったが、とりあえず買ってみると、そんな心配が無用であることがわかった。黙っていれば誰も気がつかないほどおいしい。こうして無洗米は我が家の定番商品となったのである。

時代が進歩すれば情報もより正確になっていくものだし、それに合わせて今までの常識も変わっていくのだろう。近い将来、お米は洗わないものとして定着するかもしれない。

 

→ 第6回:フォンデュを囲む至福の時間


[ eの感覚 ] [ デジタル時事放談 ] [ ダンス・ウィズ・キッズ ] [ 幸福の買い物 ]
[ シリコンバレー ] [ 貿易風の吹く島から ] [ ワイン遊び ] [ よりみち ] [ TOP ]


ご意見・ご感想は postmail@norari.net まで。
NORARI (c)2001