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第6回: オーシャン・ハイウエイ
更新日2002/04/18
2週間同じ町に滞在していれば、その街のかなりの「通」になることも分かってきた。ロサンジェルスは、夢と現実、勝者と敗者が如実に浮かび上がり、いろいろな民族・コミュニティで構成された町であった。これらの文化圏が、完全に交じり合うには、あと何世紀かかるのだろうか? 米国の移民国家としての意味が、少し分かってきたような気がした。
ロスを出たのは、日本から上陸して2週間目の5月中旬だった。この時期のカリフォルニア州は雨が少なく、温暖で過ごしやすい。こんな楽園に集まるのは人間の本能なのかも知れない。
私は、フリーウエイ5号線を南下して、メキシコとの国境に近いサンディエゴに向かう。ロスから5号線に乗るが、高速道路のアスファルトの道が非常に悪く、オフロード・バイクには走り辛い道だった。まあ、全線無料であることを考えたら文句も言えないのだが。
また、交通の流れは非常に速くて、時速120km位で流れていて、350ccのくたびれたXTにはかなりこたえる。背後から、何度もクラクションを鳴らされた。挨拶代わりかと思っていたのだが、どうやら「遅いので、どけ!」と言っているらしい。これは後日になってやっと分かったことで、それ以後はなるべく下の一般道を利用することにした。
サンディエゴまでは、右手に海を拝みながら走ればよい訳で、地図などはほとんど必要なかった。青い空と海を見ながら、バイクはシングル・エンジンの「カタカタ」という、カムシャフトのノイズをあげながらひたすら走る。ガソリンスタンドは、すべてセルフサービス。レギュラーを満タンにしても僅か$3程度である。これで200kmは走行可能なのだ。そして、ちょうどロスからサンディエゴまでが、その距離だった。
途中、昼食休憩でタコスを食べに店に入ったのだが、帰ってくるとバイクのシートに何やら券が挟んである。よく見れば交通違反のキップである。米国は、バイクでも駐車する時は、歩道ではなく車道に停めなければならないのだ。しかしその時の私には、罰金をどうやって支払うのかよく分からない。タコスの店に戻って、オヤジに聞いてみると、当然な顔で
「それはこうするのさ」と、チケットをビリビリに破いて、ごみ箱へポーンと放り込んでしまった。その豪快さに驚いたが、国内に居住していない旅行者には有効な対処法らしい・・・。
ゆっくり走っても約半日の行程で、サンディエゴ市内に入った。メキシコ国境まで僅か40分ほどの米国西海岸最南端の主要都市である。ダウンタウンは、ロスのそれよりこじんまりしている。ずうっとヘルメットを着けずに走ってきたので、顔が埃に侵されて、黒斑色の迷彩化粧をほどこしてしまっていた。
今日はシャワーを浴びる必要がある。そこで、野宿のキャンプは取りやめにし、1泊$8のユースホステルに宿を取った。
第7回:
ビーチ・バレー三国同盟
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