第7回:再びアメリカデブ談議
更新日2007/04/19
おデブのことを、主にアメリカの超デブのことを書いたつもりなのですが、日本からの反響の多さに驚いています。私から見ると、ほんの少し太めかなという程度の日本の友人がこぞって、"酷い、私だって太りたくて太っているんじゃない。自分がヤセポッチだからといって、デブバッシングする権利なんかない"とメール攻勢にでてきたのです。あんな記事を書いたおかげで、私は日本の太目の友達を沢山失うことになりそうな気配です。
反響が多ければそのテーマを追い続けるのがジャーナリズムの鉄則だそうです。そこでもう一度、デブ談義をすることにしました。
病的なまで太っている人が必ず痩せる方法があるのです。ガストリック・バイパス手術(Gastric Bypass)とかバリアチック手術(Bariatric
Surgery)とか呼ばれている手術です。早く言えば、腸をちょんぎって短くし、肥大した胃もゴルフボールくらいの大きさに切りとってしまう、荒療治です。ですから、胃袋に詰め込む量も限られ、それを吸収する場所も短くしてしまうのですから、体重が減るのは当然です。
こんな荒っぽい手術が大流行なのです。1992年には16,200件しか(それでも大変な数ですが)行われていませんでしたが、2004年には144,000件と一挙に10倍近くまで増えています。おまけにこの手術の失敗率は15%ととても高く、この手術が原因で死ぬ確率は1%だというのです(出典:American
society for bariatric surgery)。
病気でない人が美容の(健康のためでもあるけど)ために手術を受け100人に一人が死亡し、15人がまた太りだすか、生涯胃腸炎などの病気を抱えることになるというのですから、とても危険な手術です。
この手術を専門にしているお医者さん(大変大もうけをしているそうですが)は、手術が危険であることを認めた上で、これは単なる美容のためでではなく、アメリカでデブは社会問題であり、毎年40万人もの人がデブに関連して死亡しており、コカインなどの麻薬に関連した死亡者よりずっとと多く、太っていることが近因、遠因になって起こる心臓病、糖尿病、リューマチ、足の関節炎、果てはアルツハイマーに至るまで、デブ関連でアメリカが医療に使うお金は年に100Billionドル(1,000億ドル=約10兆2,000億円)以上になり、国を脅かすような大問題だというのです。このような大問題を解決するには危険覚悟で荒療治しかないというわけです。
田舎の小さな村を結ぶ4人から6人乗りの飛行機に乗るとき、荷物の重さを量るのと同時に体重も量られます。体重が多いからといって、別料金を取られるわけではありませんが、飛行機のバランスと離陸の時の全重量を知るためです。
そのとき思いついたのですが、郵便など小包みを送るときはどんな会社でも、その重さによって料金を取ります。飛行機も乗客の体重プラス、スーツケースなどの手荷物の総合重量によって料金を設定してはどうでしょうか。チェックインの荷物は重量がオーバーするととても高い超過料金を取られても当たり前なのですから、必要以上に大きな重い肉を腰やお腹に巻いた乗客からオーバーチャージを取るというアイディアはどうでしょう。
誰も追加料金を払いたくありませんから、きっとダイエット、運動に励み、痩せるのではないかしら。もしこんなことを始める勇気のある飛行機会社があったとしても、病的なまでに"差別のない平等な社会"を信奉するわが国アメリカでは、即座に裁判に訴えられるでしょうけど。
不思議なことに、お相撲さんを決してデブと感じないのは、私が大のお相撲好きなせいかしら、太めの人を見る目にはかなり心理的要素もあるようです。
相撲部屋へ稽古を見に行ったとき、偶然、狭い稽古場でほんとに偶然ですが、お相撲さんのお腹を触ってしまい、分かったことですが、お相撲さんのお腹はなかなかどうして硬太りなのです。私の心情ではお相撲さんは絶対デブではありません。
またまた、デブバッシングになってしまいました。アメリカデブ評論家のカテゴリーに入れらる前に、デブ論はこれで打ち切ることにします。
第8回:あまりにアメリカ的な!