第4回:若い女性と成熟した女性
更新日2007/03/29
人間は、男性でも、とりわけ女性は、幾つになっても若々しく見られたいと心のどこかで思っているものです。歳相応が一番、それでいいのだと自分に言い聞かせてみたところで、「お若いですね。とてもそんな歳には見えませんね」と言われると、それがお世辞と分かっていても10歳、15歳くらい若く見られた日には、そうか私は若く見えるか、まだ捨てたモノではないかと、半日くらい心が浮き立つのを抑えることができないものです。
人種や文化の違う人の年齢を推測するのは難しいものです。とりわけ東洋人は私たちのように、早くヨレヨレ、シワシワになってしまう西洋人から見ると、不老不死の媚薬を飲んでいるのではないかと疑いたくなるほど若く見えます。私の大学ににいる東洋人の学生も、顔の皮膚が張り切っていて、ツヤツヤとした顔にシワがなく、まるでこちらの中学生のように見えます。うらやましいかぎりです。
日本に行くとき、文化を垣間見るため?テレビを覗いて見ますが、テレビに登場するのが、かん高いキーキー声でしゃべり笑う中学生のような子供っぽい女性と、中年後期のオッサン顔のお笑い芸人ばかりで、肝心の中間層の女性や男性、30代、40代で本当のプロになり、自分のことが分かっている、はやり言葉で言えば"アイデンティティをしっかりと持った大人たち"が登場する場を与えられていないように見えます。
ウチのダンナによれば日本人男性は、身体の成長がそうであるように、精神も少年期から壮年を経ずにいきなり老年になってしまい、キャーキャー騒ぐ少女じみたショーベン臭い女性(私はこのような汚い表現は使いません。あくまでダンナの言葉を写し取ったものです)が、テレビタレントとして人気があるのは、日本人の大多数の男たちがそのような女性を望んでいるからだ、ということになりますがどうでしょうか。
一番脂の載りきった充実した30代、40代を仕事に没頭して過ごしている男性が日本に沢山いることは充分承知の上ですが、日本のテレビに出てくるキンキラ声の少女たちを見て、それをカワユイナーと呆け顔で喜ぶオジさんたちを目の当たりにして憂鬱になるのは、私がそれだけ年を取ったせいでしょうか。
決まり切ったバラエティショーにこれも決まり切ったミーハー族を登場させているのは、疲れ切った中年後期のオジさんディレクターたちで、彼ら自身のロリコンじみたコンプレックスの現れのように思えてくるのです。
そんな愚痴をこぼしながら、馬鹿な番組を見る必要がないのは分かっていますが、日本文化全般に広く目を開けておこうと、無理強いして見ているのです。ホントカナ?
ハリウッドで40歳以上の女優さんに活躍の場がないとウーマンリブ意識の高い女優さんたち、もちろん40歳を超えた女性たちが騒ぎたてたことがあります。その統計によると、確かに30歳まで大女優と言われた人たちでも、40代に入ると主演女優として登場するパーセンテージが、40代の男優に比べ急激に減るのは事実のようです。
しかし、演技派でしっかりと修練を積んだ本当の女優さんは、幾つになっても活躍しているのも事実です。若さとセクシーな身体だけで人気を得ていた女優(ここで女優と呼び捨てにするあたり、私の彼女らへの偏見が強く現れていますが)は、年とともに出番が少なくなるのはむしろ当然のことで、半ば本人の生き方のせいだと思うのです。
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