かお
杉山淳一
(すぎやま・じゅんいち)

1967年生まれ。信州大学経済学部卒業。株式会社アスキーにて7年間に渡りコンピュータ雑誌の広告営業を担当した後、1996年よりフリーライターとなる。PCゲーム、オンラインソフトの評価、大手PCメーカーのカタログ等で活躍中。

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第4回:"プロゲーマーリーグ"の設立に向けて

第2回に続き、BRSRK氏にプロゲーマーの世界をレポートしてもらう。実は、日本のプロゲーマーリーグ設立の動きはややスピードダウンしたように見える。インターネットカフェを使ったアマチュア主催のイベントや韓国のプロゲーマーを招いたエキジビジョンマッチは開催されているが、本来開催されるはずだった国内大会がキャンセルされ、開催の予定が立っていない。日本のプロゲームリーグはどうなるのか、どうなっていくべきなのか。今回は選手の視点から、プロゲームリーグがいま何を準備すべきかを語ってもらった。

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プロゲーマーの世界とは妥協の無い世界であるべきだと思う。しかし、プロリーグ運営側がどういった方針で進むかによってそれも左右されてしまうのではないか。 ただ腕だけを要求する世界を望むのか?  キャラクター性を重視した世界を望むのか? その辺がまだハッキリしていない。

腕を追求する場合にはまず、プレイヤーが本気で強くなりたいと思わせると同時に、プレイヤーが心から楽しいと思うような舞台を提供しなければいけない。プレイヤーのキャラクター性を要求する場合には、運営側がどんなプレイヤーキャラクターを要求するのか。そういった点が重要だと思う。ゲーム業界のキャラクターメイキングでは、過去に"16連射の高橋名人"といったキャラクター性により成功した例もある。

現在、株式会社バトルトップジャパンは今年の、12月に開かれるゲームの世界大会のWorld Cyber Gamesの日本予選を企画している。その予選を通じてメディアやプレイヤーたちに大きくプロゲーミングの世界をアピールして欲しい。そして、プロリーグの発足時にどのようなプロリーグにしたいのか、どんな規模のイベントを開催したいか、それらの概要が明確にされた時、はじめてバトルトップジャパンのやろうとしてる事が認知され、この先のゲーム業界も大きく左右することだろう。

まだ不透明な部分が多い"プロゲーマーリーグ"。これがこの先にどういった展開をするか、これこそが我々ゲーマーにとって最重要である。PCゲームは家庭用ゲームと違い、ゲームタイトルの人気のライフサイクルが長い。したがって、来年発足予定のプロリーグといえども、どんなキャラクターのプレイヤーを要求するのか?  どのゲームのプレイヤーを要求するか?  どれくらいの腕を要求するのか? 等の情報を早急にオープンにすべきだろう。

現在自分達のプレイしているゲーム「Quake3Arena」は世界的にもそろそろ寿命をまっとうしたといわれている。プレイヤーが別のゲームに乗りかえるのは容易ではないだけに、次のゲームが何になるかは重要な情報である。プロリーグの指針をいかにアピールするか?  それが現在の課題であると思う。

BRSRK

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サッカーや野球、自動車レースのようにプロゲームの世界は興行的な成功を考えなくてはならない。ただ腕がいいだけで競い合うだけならアマチュアの大会で十分だ。インターネットのおかげで、ゲームの世界で強さを誇示するにはプロもアマも関係ない時代なのだ。

プロゲームリーグ開催のためにはインターネットの外側へアピールするための演出と、そのためのスポンサード体制が必要だ。BRSRK氏の所属するクラン(チーム)は、夏に開催される米国での世界大会に向けてスポンサーを探している。しかし、そのスポンサーが日本のプロゲームリーグでも認められるか否かについては指針が示されていない。これではゲーマーたちはゲームリーグというシステムに乗りにくいだろう。

しかし、世界大会は刻々と近づいている。ゲーマーたちの不安が一刻も早く解消されることを望みたい。

 

→ 第5回:「"あすなろ"に会った日」


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