■新・汽車旅日記 ~令和ニッポン、いい日々旅立ち 第754回「トンネル群と巨大ジオラマ - 北陸本線 長浜~敦賀 -」 長浜駅で東舞鶴行きのきっぷを買う。2,270円。経由欄に「北陸」「小浜」とあり、有効期間は2日。つまり100km以上の距離で、敦賀に途中下車できる。今日の目的地は敦賀で、宿泊地が東舞鶴駅付近のホテルだ。プラットホームに行くと特急列車が通過した。「しらさぎ53号」米原発金沢行きだ。特急しらさぎのうち、長浜駅に停まる列車は全体の3分の1くらい。鉄道の要衝は米原に移った。特急列車を見送って、私は12時11分発の各駅停車に乗った。もう少し待てば13時02分発の「しらさぎ7号」が来る。しかし敦賀までは特急に乗るまでもない。各駅停車は225系という電車だった。4両編成で、「新快速 近江塩津」と表示されている。姫路から4両編成で来るはずもないし、米原で12両編成中の8両を切り離したようだ。ありがたいことにクロスシート車で、JR西日本にとってはありがたくないだろうけど空いていて、私は進行方向に向かって座っている。北陸本線は琵琶湖の東岸を通るけれども、湖畔から離れているから見えない。伊吹山地と琵琶湖に挟まれた田園地帯…
杉山 淳一 バックナンバー
2026/03/05掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第520回「流行り歌に寄せて No.315「襟裳岬」~昭和49年(1974年)1月15日リリース この曲は、日本ビクターの創立50周年と、同社の音楽部門が独立して。ビクター音楽産業になって1周年、これを記念しての特別企画の中の1曲として生まれたということである。 それは、日本ビクター専属の看板歌手、フランク永井、松尾和子、三浦洸一、鶴田浩二、青江美奈、橋幸夫、森進一ら10人の新曲のシングル・レコードを昭和49年1月に一斉発売しようという企画だった。この企画に関しては、通常行なわれていた担当性によるものではなく、企画を採用された者が制作の責任者になるというものだった。当時駆け出しの、元ソルティー・シュガーのメンバーだった高橋卓士が、同じフォーク畑の繋がりからか、吉田拓郎が「森進一さんみたいな人に、曲を書いてみたい」と以前から言っていたのを思い出し、拓郎に曲作りを依頼し、企画として提出した。当然のことながら、日本ビクターの上層部や。森の所属する渡辺プロダクションは「森には合わない」と強い難色を示す。ところが、当時言われなき …
金井 和宏 バックナンバー
■西部夜話 ~酒場サルーンと女性たち 第27回「酒場サルーンと女性たち その27」 ■シカゴ・ジョーというビジネス・ウーマン 娼館のマダム、サロンバーの持ち主として成功した娼婦はたくさんいるが、そこから一歩踏み出して、一般の事業でも成功したマダムとなると滅多にいない。娼婦としてあるいは幾人かの娼婦を使って娼館の経営者、マダムとして一度甘い汁をたっぷり味わうと、なかなか娼婦関係から足を洗い、全く別の事業に移るのは難しいのだろう。シカゴ・ジョーはそれをすんなりやってのけた。もちろん、シカゴ・ジョーというのは他人が呼んでの通称で、アイルランドで1844年に生まれた時の名はメリー・ウェルチと言う。彼女が14か15歳の時、両親と伴にアメリカに移民し、ニューヨークで中等教育を受けている。ジョーの両親は真面目一方の働き者で、熱心なキリスト教(カトリック)信者だった。彼女がとんでもない道に入る予兆もなく、そんな環境でもなかった。ジョーは小中学校を普通に終えている。 年百、何千といたであろう、アメリカ辺境の娼婦に、アイルランド人がなんと多いことだろう。もとはといえば、赤貧洗う…
佐野 草介
バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第934回「冬季オリンピックの怪」 冬の間、スキーのために借りている谷間の町のアパートにはもちろんテレビはあるのですが、どういうことになっているのか何十とある映画、スポーツ・チャンネルは入るのに、普通の地上波のテレビ放映は入らず、一日遅れのYouTubeでオリンピック競技を観ています。フィギュアスケートなど、信じられない超絶技巧を平然と演じるスケーターに驚嘆せずにはいられません。日本とアメリカ勢が多く、イタリア、フランスも追いつけ、追い越せの勢いです。フィギュアスケートを観ていて、フィギュアスケートの大国ロシアの選手がいないことに気がつきました。オリンピックは政治に左右される祭典だと誰でも承知していますが、ロシアのウクライナ侵攻、戦争に対して、IOCは大前提としてロシアとベラルーシュの国として参加を認めていません。国旗、国歌、国章なしで個人としての参加は認めていますが、ハードルがとても高く、3人のロシア・フィギュアスケーターが競技することを許されているだけです。 しかも、演技を採点する審査員の厳しい…
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■鐘を鳴らそう 鳴らせば鳴る鐘が、まだあるのだから ~音羽信の心に触れた歌たち~ 第17回「虹に目が眩んで by ローリング・ストーンズ」 ローリングストーンズの面白さは、定番のロックナンバーを次から次へと披露して、大観衆を熱狂させる興行を繰り広げてみせる一方、時折、私たちが生きている時代の風を敏感に感じ取って、その風と呼応する真摯な歌を、同じ風を感じ取っている私たちに向かって歌ってくれることだ。例えば『アンジー』、例えば『ギミーシェルター』。そんな歌を聴くことで私(たち)は、自分が立っている場所を、見ているものが間違ってはいないことを、その確かさを信じて、とにもかくにも、そこから前に進むしかないと思えた。それはストーンズが、ニール・ヤングと同じように、ロックを始めたその時の感覚をいつまでも大切にし続けていることの表れ。私がストーンズを初めて見たのは、1976年の夏、バルセロナの闘牛場でのコンサートだった。ロキシー・ミュージックやピーター・トッシュなどが前座を務めるというとんでもないそのコンサートで、ストーンズはちょうど真夜中の12時に登場したが、それは長い間スペイン…
音羽 信
■よりみち~編集後記 2026年の「のらり」初更新ということで、どんな一年になるのか考えてみようとするのだが、日本はもちろん世界でも世の中の流れが速すぎて思考が追い付かないと言うのが本音のところだ。元旦からの世界と日本の動きをまとめてみた――15日間の世界の情勢をウォッチしてみて、いきなり1月3日の米軍によるベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領夫妻の拘束には正直驚かされた。まさか本気でやるとは誰も思っていなかったので、衝撃的だった。国際法でも国連憲章でも完全に違法な攻撃であり、トランプ以前に実行していたなら、とんでもなく批判され国際裁判になっていた可能性もあるはずだが、アメリカ最優先を公約にして大統領に再選されたトランプがやることは、もう誰も止められない暗黙の了解となっており、1823年という今から200年も前のモンロー大統領の教書に立ち戻ってアメリカの帝国ナショナリズム復活を宣言したような状況に陥っている。これは明らかに狂っているとしか言いようがないのだが、トランプ・マジックで、アメリカ最優先のためだからしょうがないとでも国民は思っているのでしょうね。当然のことですが、アメリカの属国…
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