■めだかのスイスイあまぞん日記~~ゆったり南米ブラジル暮らし

夏川めだか
(なつかわ・めだか)


仙台市広瀬川にて誕生。その後利根川、井の頭公園の池、ダブリンのギネスビール、多摩の浅川などを転々とし、さらなる新天地を求めて、ついに世界第一の流域を誇るアマゾン川へ流れ着く。



第1回:アマゾンでジャングル暮らし?
第2回:こんなとこに住んでいます。
第3回:ゆるゆるモードにはまる。
第4回:「おんな」を満喫!
ブラジル人女性。

第5回:漢字が流行ってます。
第6回:買い物もひと苦労?
第7回:選挙もお祭りなのね
第8回:アマゾンのサムライたち
第9回:市民の足は爆走バス

■更新予定日:隔週木曜日

第10回:こんなものを食べてます-その1

更新日2004/12/09


こんにちは、めだかです。

ブラジル料理と言えばシュラスコが有名だし、肉料理のイメージが強いので、こちらに来る前はそんなに毎日肉ばかり食べるのもツライかも…と思っていた。でも考えてみれば(考えてみなくてもだけど)ベレンはアマゾン川河口に位置するので、実は魚介類が豊富だ。というわけで魚好きには嬉しい街なのである。

よくお目にかかるのはドゥラーダやフィリョッチというなまずの仲間やトゥクナレ、ペスカーダといった魚で、どれも淡白な白身魚。なまずって聞くとあんまりそそられないかもしれないが、見かけによらずとても美味しい。あっさりしてるけど肉厚&ジューシーで、フライや煮込み料理にぴったり。

魚介類と野菜、ゆで卵、香草などを煮込んだカウデイラーダはアマゾンの郷土料理。他にも、魚介類、野菜、デンデ油などをココナッツミルクで煮込んだムケカという料理(バイーア州出身)も感動の美味しさだ。ふつう煮込み料理というと冬の寒い日に出てくるようなものだけど、熱帯で汗をかきかき食べるのもオツなものだ。暑いのでビールがクイクイ進んでしまう。


川に面したレストランで食べたムケカ。
どーんと鍋ごと出てきてニ人で食べてもかなりの量。

そしてアマゾンと言えばピラニア。「ピラニアに食べられないでね~」なんて言われて送り出されてきたけれど、ここでは逆に人間がピラニアを食べているのだ。残念ながら、まだトライする機会がないのだが、唐揚にすると美味しいらしい。でもピラニアなんてもっと奥地の方に行かないと食べられないんだろうなと思ってたら、なんとスーパーの魚売り場で見つけてしまった。うーん、自分で調理するのはちょっとコワいかも。


魚売り場に平然と並んでいるピラニア(1kg≒100円)。

そしてもう一つ、アマゾンで有名なのが、世界最大の有鱗淡水魚ピラルクー。1億年以上も前から生き続けている古代魚らしいけど、フツーに食堂やレストランで小さい切り身のフライになって登場してくるし、市場でも干物を売っているのを見かける。「これって絶滅危惧種とかじゃなかったけ? 食べちゃっていいのかなぁ」と言いながら、これがまたビールによく合う。爪楊枝でちまちま刺しながら食べつつ飲みつつ、太古のアマゾンに思いを馳せるというゼイタクな一時を過ごせるのだ。

さらにベレン名物で忘れてならないのは泥ガニ(カランゲージョ)。なんだか食欲のわかないような名前だけど、マングローブの泥の中に暮らしているからこんな呼び名になっている。でもこれが旨い! トキトキという料理は、丸ごと茹でたカランゲージョをまな板みたいな小さな板に載せ、木の棒で殻を叩き割って食べるというもの。この叩く音をこっちの人は「トキトキ」と表現する。でもどちらかというと「ガンガン」という感じで、野性的な気分になって味わえるものだ。


茹でたてアツアツのカランゲージョ。1匹2レアル(≒80円)。


カニを木槌でトキトキしているところ。
中身がはねるのであまりキレイな格好で行かない方がいい。

カランゲージョのもう一つのお気に入りメニューは、カスキーニャ・ヂ・カランゲージョ。茹でたカニの身ややわらかい殻をつぶしてほぐして甲羅の中に詰め込み、ファロッファというマンジョーカ芋の粉を載せたもの。これにピメンタという香辛料を振りかけ、ちびちびつまみつつ飲みつつ、マングローブに生きるカニの姿に思いを馳せるというシアワセな一時を過ごせるのだ(こればっかり)。

こうして並べてみると、みーんなビールに合うっていう形容詞がつきそうだけど、それはともかくベレンに住んでみるまではこんなに川の幸の豊かな土地とは知らなかった。熱帯雨林と大河アマゾンが育んでくれた美味なる生き物たちに感謝を捧げながら、今日もありがたくいただいてます。

 

 

第11回:音楽と騒音の境界線?