■めだかのスイスイあまぞん日記~~ゆったり南米ブラジル暮らし

夏川めだか
(なつかわ・めだか)


仙台市広瀬川にて誕生。その後利根川、井の頭公園の池、ダブリンのギネスビール、多摩の浅川などを転々とし、さらなる新天地を求めて、ついに世界第一の流域を誇るアマゾン川へ流れ着く。



第1回:アマゾンでジャングル暮らし?
第2回:こんなとこに住んでいます。
第3回:ゆるゆるモードにはまる。
第4回:「おんな」を満喫!
ブラジル人女性。

第5回:漢字が流行ってます。

■更新予定日:隔週木曜日

第6回:買い物もひと苦労?

更新日2004/09/30


こんにちは、めだかです。

さすがにもう慣れたけれど、買い物という日常的なことでも実はいろいろとカルチャーショックがあった。市場などで値切りながら買う、なんてのを別にすれば、普通のスーパーや店での買い物など大体どこでも似たようなもので、お金を出して品物とおつりを受け取ればいいだけのことだと思っていたけど、そう単純でもなかったのだ。

近所の店でノートを買ったときのこと。カウンターの店員さんに「これください」とお金と一緒に差し出したら、「ああ、支払いはあそこでしてください」と奥の窓口を示された。そこにはCAIXA(レジ、帳場)という表示が出ていて、お金の扱いはその一箇所にまとめているらしい。そこで支払いを済まして、カウンターに戻ると商品を渡してくれた。

端から端まで何歩もない店内で、そんなややこしいことしなくても…。最初の店員さんがお金を受け取っておつりとノートを渡してくれればそれで済むのに。そしたら人件費のかかる店員も3人もいらないだろうに、と余計な心配をしてしまった。

小さい店ならまあ数歩のことだからいいとして、これが大型店だとちょっと面倒。ガスコンロを買ったときは、そばにいる店員さんに「これがほしいんですけど」と言うと、その値段を紙に記入し、「これを持って向うのCAIXAで払ってきてください」と渡された。

はるばる歩いて行って、列に並び、やっと支払って戻ってくると、今度は、「品物はあそこの梱包カウンターで受け取ってください」と言われてまた歩かされ、ようやく購入したものを手に入れた。ここはお役所かよ~とちょっと頭にきたし、それに何より効率が悪いと思うのだけど、特に誰も不自由を感じていないようだ(なんで?)。

支払いについて言えば、こちらでは少しでも値段の張るものを購入するときは分割払いが普通みたい。店頭に並んでいるTVの値段がかなり安いので、「やっぱりずいぶん物価が違うんだなぁ」とほくほくしていたら、それは分割払いの1回分の金額だった。

たとえばR$500(レアル)の商品だったら、10回払いで1回の支払額はR$50という意味で『R$50(×10)』と大きく出ていて、実際の価格は隅の方に小さく表示されている。まったく紛らわしいなぁ(ちなみに1レアル≒40円)。

それから、カードで支払う人の割合がかなり高い。だからスーパーのレジではいつも、「支払いはどうします。現金? カード?」と聞かれる。牛乳1本と電池と塩くらいしか買わないときにも同じ質問をされたので、こんな少額でもカードなの?と思ったが、他の人たちを見ると確かにちょっとした買い物でもカードで支払っている。ニホンよりもずっとカード社会なのだ。

そのせいもあるかもしれないが、店のレジではおつりの小銭が慢性的に足りない。それでよく生じるのは、「小銭を取りに行ってくるのでちょっと待っててください」と言われ、レジの人がはるか彼方まで小銭を求めて旅に出ている間ずーっとそこで待たされるということだ。だからよくレジのところで手持ち無沙汰でぼーっとしているお客の姿を見かける。例によって、みなイライラせずに(たぶん)おとなしく待っている。

そして、おつりがかなり少額の場合、まず戻ってこないと思っていた方がよい。その辺はかなりキッチリしている国から来た者としては、初めのうち、どういうことよ?と訳がわからなかったけど、細かいことにこだわらないブラジル人の性格もあって、そんな○ツの穴の小さいこと言うなよ、というわけらしい(のかな?)。あるいは小銭のおつりの代わりに飴玉をくれるところもある。そういう店ではレジの横に飴やガムの入った箱が用意されているのだ。それくらいなら小銭を用意すればいいような気もするけど…。

たとえば、ある時スーパーで購入した商品の合計がR$14.96だったのでR$20札を渡したら、おつりはR$5だった。4センターボ(1センターボ≒40銭)足りないけど当然のように戻ってこなかった。5センターボ未満はほとんど無視されている。

かと言って、いつもこちらが損(てほどでもないけど)するわけでもなく、やはり大雑把なおつりということで多めに帰ってくることもよくある。R$21の商品にR$50札を出したら、おつりがR$30という時もあった。これは大盤振る舞いだけど、要はレジの人が面倒くさかっただけだろう。

ニホンでは1日の終わりにレジを集計して、100円でも足りないとずーっと残業して計算し続けると聞いたことがあるけれど、ここではそんなことはやっていないよなぁ。おつりを出さなかったり、多めに出したりしていると最終的にはトントンになるのだろうか。その辺は融通がきくというか、大らかというか、それでも世の中はちゃんと回ってるのねと感心してしまう。


路上の八百屋さん。袋に入った赤い果物はアセロラ。

最後に付け足しみたいだけど、基本的にはこちらのお店の人は親切で、感じがよい。店員さんの言葉がよく聞き取れず、何度も聞き返したり、「?」という顔で固まったりすることも多いけど、そんな時でも、「チッ、忙しいのに面倒かけやがって」などとイラつかれることはなく、「そうかー、わからないですかー、それは困ったなぁ」と笑顔で一緒に困ってくれて、のんびり対応してくれる。

ニホンのように、「お客様は神様です」みたいなへりくだりはないけれど、外国人だろうと何だろうとフレンドリーに接してくれるのが嬉しい。

商品を手に入れるまで少々歩かされようとも、おつりの代わりに飴玉をもらおうとも、店員さんの対応が良ければすべて良しとしてしまおう。何よりそれが一番だものね。

 

 

第7回:選挙もお祭りなのね