■新・汽車旅日記 ~平成ニッポン、いい日々旅立ち 第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」 福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの建物と青空と雲が映り込んでいた。
杉山 淳一 ※只今休載中 バックナンバー
2024/05/02掲載
■店主の分け前 ~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと 第478回「流行り歌に寄せて No.273 「恋の町札幌」~昭和47年(1972年)5月リリース」 ずっと長い間、勘違いをしていた。今回の『恋の町札幌』という曲は、札幌オリンピックより、もっと以前に世に出た曲だと思っていた。ところが、オリンピック開催後の5月に発売されていたのだ。それより8年前の東京オリンピックの年に、『東京ブルース』『東京の灯よいつまでも』など、東京のつく曲が作られ、ヒットしたのは知っていた。ハマクラ先生は、以前から札幌が好きで、石原裕次郎に札幌の曲を歌わせたいと思っていたそうだ。この時期でなくても、この曲はヒットしたと思うが、なかなか良いタイミングで出してきたものである。この曲のヒットから19年後の、平成3年6月6日には、札幌羊ヶ丘展望台の、あのクラーク像の隣に、『恋の町札幌』の歌謡碑が建てられた。譜面と歌詞が刻まれた歌碑の上には、向かって左にハマクラ先生、右に石原裕次郎の胸像が…
金井 和宏 バックナンバー
2024/05/09掲載
■西部開拓時代の伝承物語 ~黄金伝説を追いかけて 第4回「ドン・アントニオ・ホセ・チャベスの財宝 その3」 ジョン・マックダニエル以下、ミズーリーからの15名の即成騎兵隊は進退極まったチャヴェスの一行がメキシコ人だと観るや否や、攻撃し始めた。勝負はハナからミエミエだった。チャヴェス一団は初めから戦う気など全くなかったからだ。マックダニエルらは争うように積み荷を奪い合った。チャヴェスの一団7名は後ろ手に縛られ、それを見るだけだった。1843年当時、このようにメキシコ人のキャラバンを自称テキサス義勇軍が襲うことは頻繁に行われていたようだ。多くの場合、記録によれば、積み荷と馬を奪いはしたが、メキシコ人を殺さなかった。ジョン・マックダニエル一行のうち7名は、チャヴェスの積み荷、毛皮の分け前とミュール5頭を引き連れて、ミズーリーに戻ることにした。ということは、それまでもマックダニエルのやり方に不満を持っていたのだろうし、その先にも希望が持てなかったからだろう。
佐野 草介 バックナンバー
■亜米利加よもやま通信 ~コロラドロッキーの山裾の町から 第850回「消えた聖徳太子…」 海外を旅行し、国境を越えるたびに貨幣、紙幣が変わり、目新しいデザインのものだったりするので、結構それが楽しみです。逆に、使い残しのコインだけならまだしも、紙幣が残り往生することもありますが…。日本人がアメリカに来て手にする紙幣は、サイズが皆同じでいずれも緑っぽい色合いなので戸惑うことがあるようです。1ドルも100ドルも同じサイズ、同じ色なのです。そして紙幣に印刷されているのは政治がらみの人物ばかりで、文学者や芸術家がありません(そんな著名な、優れた人物がアメリカにいないせいでもあるでしょうけど)。1ドルはジョージ・ワシントン、5ドルはリンカーン、10ドルはハミルトン、20ドルはアンドリュー・ジャクソン、50ドルはグラント、100ドルはベンジミン・フランクリンで、この顔ぶれは全く変わりません。一時期、トマス・ジェファーソンの2ドル紙幣が出ましたが、人気がなかったのかどうか、今では滅多に見かけません。顔ぶれは全く同じですが、発行年によって…
Grace Joy(グレース・ジョイ) バックナンバー
■ドレの『狂乱のオルランド』 ~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源 第8歌 騎士たちとアンジェリーナのその後 第4話「不思議な島の話」 前回は、絶世の美女アンジェリーカが、老呪術師が淫らな欲望を果たすために用いた呪術で辺鄙な岩場で眠らされてしまったところまではお話しいたしました。しかしこれからの話の展開のために、どうしても話しておかなくてはならないのが、アンジェリーカが横たわる場所から近いところにある世にも不思議な島のこと。島に住む人間は今はほんのわずか。しかしその島には昔、たくさんの人が住んでいて、一人の傲慢な王が島を治めておりました。その王には一人の実に美しい娘がおりましたが、ある日、島の近くを通りかかったプロテウスが、たまたま浜辺にいた姫の姿に心を奪われ、燃え上がる恋の炎が命じるままに強引に砂浜で姫を抱きしめて情を交わしたのだった。いったい人間の娘がどうして神に逆らえましょう。たちまち姫は懐妊し、それを知った王は怒り狂い、その怒りをあろうことか、プロテウスのような海の怪物に体を許した娘に向け、事情も何も聞かずに…
谷口 江里也
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■よりみち~編集後記 「ジェノサイド(集団虐殺)戦争」「パレスチナに自由を!」 米国では、ガザ紛争を巡り、2020年の反人種差別デモ以来、最大規模の学生運動が巻き起こっています。反イスラエルの抗議活動を繰り広げているコロンビア大学を筆頭に、同様の抗議活動は全米に広がっており、他州の大学でも逮捕者が出ています。また、米各地の大学で起きている抗議デモに触発され、フランスの有名高等教育機関、パリ政治学院でも、ガザでの戦闘に反対するデモが拡大し、学生約50人が建物の一部を占拠しました。コロンビア大学では、キャンパス内でテントを張り、抗議デモを続けていた親パレスチナ派の学生ら100人超が逮捕され、大学側がテントの撤去に応じなかった学生の停学処分を開始したことを受け対立が激化し、学生らがキャンパス内の一部建物を占拠。大学からの要請を受けた警察が建物に突入、不法侵入でニューヨーク市立大の173人と、コロンビア大の109人が逮捕されました。西部カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でも、ガザで攻撃を続けるイスラエルに抗議するデモ隊とイスラエルを支持する…
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■鏡の向こうのつづれ織り ~谷口江里也のとっておきのクリエイティヴ時空 [全24回] 谷口 江里也
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