■くらり、スペイン~愛知万博スペイン・パビリオン幕の内、の巻

湯川カナ
(ゆかわ・かな)


1973年、長崎生まれ。受験戦争→学生起業→Yahoo! JAPAN第一号サーファーと、お調子者系ベビーブーマー人生まっしぐら。のはずが、ITバブル長者のチャンスもフイにして、「太陽が呼んでいた」とウソぶきながらスペインへ移住。昼からワイン飲んでシエスタする、スロウな生活実践中。ほぼ日刊イトイ新聞の連載もよろしく! 著書『カナ式ラテン生活』。kanasol.jp



■愛知万博スペイン・パビリオン幕の内、の巻
第1回:スペイン万博公団も私も気合い十分(1)
第2回:スペイン万博公団も私も気合い十分(2)
第3回
日本で有名なスペイン人、アンケート結果(1)

■移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻(連載完了分)
■イベリア半島ふらりジカタビ、の巻(連載完了分)

■更新予定日:隔週木曜日


第4回:日本で有名なスペイン人、アンケート結果発表(2)

更新日2004/12/09


スペインといえば、昔フラメンコに今サッカー、だという。世界最高峰の選手が集まるリーガ・エスパニョーラ、なかでも「ギャラクシー軍団」レアル・マドリードのファンは日本にも多いそうだが、実は本拠地のサンティアゴ・ベルナベウは我が家の近く。さらにツレアイの職場なぞ徒歩5分の場所にあるので、勤務中も観客のどよめきでゴールが決まったかどうかがわかるほど。あいにく、ベッカムとすれ違ったことはないのだけれど。

さて、先日実施した「知っているスペイン人スポーツ選手は?」というアンケートでも、なんと上位10位のすべてをサッカー選手が占めた。というわけで今回はちょっと目線を変えて、回答を「ジャンル別での総合ポイント」で集計したベスト・スリーを発表。もちろん、10位までのパーフェクト・ランキングも紹介しまっす。

 第3位:自転車レース

9月に行われる、スペイン最大の自転車レース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」(スペイン一周)。最終日にたまたまうっかり中心地へ出かけてしまったのだが、マドリードの目抜き通りはレース会場となるために交通規制され、ゴール地点近くにはその瞬間を見ようと全国から多数のファンが駆けつけてたいへんな騒ぎとなっていた。このレースは世界三大自転車レースのひとつだそうで、昨年日本で公開されたアニメーション映画『茄子 アンダルシアの夏』の舞台にもなっている。

日本では、というか、少なくとも私はまったく関心のなかった自転車レースだが、スペインではとても人気が高い。少し郊外に出ると競技用のスタイルで自転車を走らせているひともよく見かける。街角の自転車店でも、扱う商品の主力は競技用自転車だ。ちなみに「ママチャリ」はとても少なく、マドリードの自転車通勤・通学率は0.42%となっている。(日本は12.2%、平成12年) スペインでは自転車は日常の足としてより、スポーツのひとつとして認識されている、といえるだろう。

そんなスペインの自転車界で有名な選手の筆頭は、ミゲル・インドゥライン。1964年生まれで、11歳でアマチュア・デビュー。僅か4名しかいないというツール・ド・フランス総合優勝5回の記録を持つ名選手であり、その愛称はずばり「王」。そんな華やかなデータとは裏腹に、穏やかさと優しさで知られる、らしい。今年5月のスペイン皇太子結婚式にも招待された、スペイン・スポーツ界の英雄のひとり。ご存知でした?

 第2位:テニス

ちょうど先週、スペインのセビージャという地方都市で、テニスの男子国別対抗戦「デビス・カップ」の決勝、スペイン対アメリカ戦が行われた。結果は、見事にスペイン・チームが優勝! 栄冠を手にした今年のメンバー4人を、せっかくなので紹介したい。

カルロス・モヤは現在ATPランキング5位。1976年、かつてはショパンとジョルジュ・サンドの逃避行先として、現在はサッカーの大久保選手の移籍先として有名なマジョルカ島の出身。95年からプロということで、ベテランというイメージが強いのだが、まだ28歳だとか。ちなみに彼の名字、スペイン中央部での発音では「モジャ」となる。髪がモジャモジャしているのでピッタリだ、と、私はひとりいつも頷いてしまう。

ラファエル・ナダルはまだ18歳と6ヶ月。今回、これまでアメリカのマイケル・チャンが保持していたデビスカップでの最年少勝利記録を更新した。彼もまた、マジョルカ島出身。スペインのテニスの有力選手は、なぜかバルセロナを中心とするカタルーニャ文化圏の出身が圧倒的に多い。なので彼ら選手同士で喋っているのはカタルーニャ語だったりする。マジョルカ方言もまた、カタルーニャ語に含まれるとされている。

フアン・カルロス・フェレーロは、コートの貴公子、私の王子様。昨年、一時はランキング1位になった実力と(最終的には3位)、甘いマスクと、「蚊」とあだ名されたほどの細い身体と、妙に高い声を持つ。それとバレンシア出身ということで、オレンジのような爽やかさもね。ちなみに彼も、自転車のミゲル・インドゥライン同様、スペイン皇太子結婚式に招待されている。名前の「フアン・カルロス」が現国王と同じという縁も……いや、それは関係ないか。

トミー・ロブレドもまたまたカタルーニャ地方、バルセロナの北にあるジローナ県の生まれ。「トミー」というスペイン人らしからぬ名前は、両親がファンだったイギリスのロックバンド、「ザ・フー」の名作ロックオペラのタイトル『トミー』にちなんだものだという。彼が生まれたのは1982年、つまりフランコの死後7年。将軍の独裁期にはカタルーニャ語風の命名が禁じられた時期もあったことを思うと、スペイン市民社会がこういう「自由」も勝ち取った例として、私にはとても感慨深いストーリーだった。

 第1位:サッカー

アンケート回答の圧倒的多数を占めたのは、華やかなプレー・スタイルが世界中を魅了するスペイン・サッカーの選手たちだった。その上位10人の名前をズラリと列記すると。

1.ラウル・ゴンサレス(レアル・マドリード)
2.フェルナンド・モリエンテス(レアル・マドリード)
3.イケル・カシージャス(レアル・マドリード)
4.グティ(レアル・マドリード)
5.フェルナンド・トーレス(アトレティコ・デ・マドリード)
6.プジョール(F.C.バルセロナ)
7.ミチェル・サルガド(レアル・マドリード)
8.イエロ(現在ボルトン、かつてレアル・マドリード主将)
9.ルイス・エンリケ(昨季引退、元F.C.バルセロナ)
10.カニサレス(バレンシア)

また、アンケート回答には「ほとんど知っているので、いちいちぜんぶ書けません」というコメントも少なからずあり、ここまでスペイン・サッカーが日本で知られているのかと改めて驚いた次第だった。ご協力、本当にありがとうございました。

番外:上位20位までに名前が現れるスポーツ選手のうち、上記3ジャンル以外で現役の選手2名を紹介。よろしければ、今後、応援してくださいね。

 14位:フェルナンド・アロンソ
→F1界の新星。1981年、アストゥリアス州オビエド生まれ。2003年のハンガリーGPで史上最年少優勝記録を更新。ルノー所属。世代的に、佐藤琢磨選手の最大のライバル、かな?

 20位:セルヒオ・ガルシア
→タイガー・ウッズと並び称される、若手の有力ゴルフプレーヤー。通称は「エル・ニーニョ」(神の子)。1980年、地中海岸の町カステジョン生まれ。現在ワールドランキング9位。

さて、万博関連のイベントの詳細が続々決定しつつあります。引き続き、情報を随時伝えてきますので、お楽しみに!

 

グルメ界のギャラクシー軍団、日本上陸(1)