■くらり、スペイン~愛知万博スペイン・パビリオン幕の内、の巻

湯川カナ
(ゆかわ・かな)


1973年、長崎生まれ。受験戦争→学生起業→Yahoo! JAPAN第一号サーファーと、お調子者系ベビーブーマー人生まっしぐら。のはずが、ITバブル長者のチャンスもフイにして、「太陽が呼んでいた」とウソぶきながらスペインへ移住。昼からワイン飲んでシエスタする、スロウな生活実践中。ほぼ日刊イトイ新聞の連載もよろしく! 著書『カナ式ラテン生活』。kanasol.jp



■愛知万博スペイン・パビリオン幕の内、の巻
第1回:スペイン万博公団も私も気合い十分(1)
第2回:スペイン万博公団も私も気合い十分(2)


■移住を選んだ12人のアミーガたち、の巻(連載完了分)
■イベリア半島ふらりジカタビ、の巻(連載完了分)

■更新予定日:隔週木曜日


第3回:日本で有名なスペイン人、アンケート結果発表(1)

更新日2004/09/16


8月、私のサイトで以下のようなアンケートを実施したところ、多くの方が、記録的な猛暑やアテネオリンピックでの寝不足にもかかわらず、わざわざ回答を寄せてくださった。本当にありがとうございました。というわけで、今回はそのなかで、日本で有名なスペイン人に関する質問の答えを大公開(航海)時代。……つまらん? そいつは失礼いわしたしまっ、と!

さて今回取り上げる質問は、これです。

■知っているスペイン人アーティストの名前を教えてください。(ただし、いま生きているひとのみ)

以下、上位3名をカナ式に紹介いたします。あなたは、ご存知でした?

 第3位:ペドロ・アルモドバル

映画監督。2000年、『オール・アバウト・マイ・マザー』でオスカー受賞。
1951年、マドリードの南、ドン・キホーテの故郷ラ・マンチャ地方に生まれる。なんでも実家は貧しい農家だったとか。やがて弟とともにマドリードに移り、70年代後半~80年代前半の「モビーダ・マドリレーニャ」の中心となった。

「モビーダ・マドリレーニャ」は、直訳すると「マドリード・ムーヴメント」。ヒッピー文化をベースにした、若者中心のサブカルチャー・ムーヴメントだ。1975年、それまで長期独裁制を布いてきたフランコが死亡。イエーッス俺らは自由だぜ、セックスもドラッグもええじゃないか、と、それまでのタブーや常識を打ち破る激しい表現活動が次々と行われた、その中心が彼、ペドロだったのだ。

その後もペドロは今日まで、いい子ちゃんにもならず権力志向も見せず、精力的に話題作、というかだいたい問題作を製作しつづけている。その毒と、一方で清らかなまでの美しさと。なんか、ほら、思い出さない? あのひとのこと。そう、私はスペインの北野武、だと思っている。

 第2位:ペネロペ・クルス

女優。代表作は、というよりも、「トム・クルーズのつい最近までの恋人」と言ったほうが有名なのかも。ちなみに、日本ではLUXスーパーリッチのCMにも出ていた(2002年)。
1974年、マドリード郊外の、たしか電器屋さんに生まれる。母は美容師。妹のモニカ・クルスは、ホアキン・コルテス舞踊団にもいたダンサー。ペネロペによく似ていて、顔がすごく小さい。そして弟はサッカー選手の卵、だったかな。

ペネロペは10代からテレビのシリーズものなどに出ていたが、92年に主演した映画『ハモン・ハモン』で一躍脚光を浴びる。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得したこの作品、かなり濃厚な性描写があり、っていうかそればっかで、ペネロペは売春宿の女将の娘、っていうか売春婦の役で、ちなみに激しく絡み合う相手がこれまたこの作品が出世作となったハビエル・バルデム(2001年アカデミー賞主演男優賞ノミネート)だったりする。なお、ペネロペは上記『オール・アバウト・マイ・マザー』にも出演。

ところでペネロペを日本で一躍有名にしたトム・クルーズだが、先日、映画のプロモーションのためにスペインへやって来た。ペネロペやその家族とは和やかに食事をしたらしい。お昼のワイドショーで、トムが「彼女とはいまでも良い友達さ、スペインは大好きだね!」と、変に甲高いスペイン語に吹き替えられてコメントしているのを見た。日本語吹き替えのジャッキー・チェンのようだったぜ、声。

 第1位:ホアキン・コルテス

フラメンコ・ダンサー。1997年、スーパーモデルのナオミ・キャンベルが自殺未遂を図ったほどに惚れ込んだ男として、一躍、フラメンコ界以外にも名前を知られることに。
1969年、フラメンコの故郷アンダルシアはコルドバに生まれる。12歳でマドリッドに移り、本格的に踊りを開始。15歳でスペイン王立バレエ団に加入、たちまちトップに登りつめる。92年、自身の舞踊団を結成。たしか98年、初来日。

私は2000年にマドリードで、彼の舞台を2列目で観た。距離はわずか1.5メートル、迫力あるなんてもんじゃない。上半身裸で黒タイツだけを身にまとった美しい肉体のホアキンが、舞台前方へ進んでくる。アラ意外と顔がでかいんだな、と思った瞬間、ホアキンの姿があのひとにしか見えなくなった。……江頭2:50。指の先まで神経を張りつめてビシッと決めるお得意の美しいフラメンコのポーズも、皮肉なことになおさら江頭感をかきたてる。おかげで、しまいまで「ハイィーッ!」という江頭2:50の声がリフレインするなかで舞台を観る羽目になってしまった。まぁでも美しかったです、それはそれは。

ちなみにホアキン宅の近くに住んでいた知人の話によると、彼は近所を上半身裸でランニングし、部屋に帰っては通りに面した部屋で飽きるまで(飽きないんだけど)鏡の前でポーズを決めているらしい。そんな奴が、一条まさと(『右曲がりのダンディー』)以外にいたとは。いや、すごいひとだ、それだけでも充分に。……濃いよなぁ。

以上、日本でいちばん知られている、かもしれない、スペイン人上位3人でした。ちなみにジプシー・キングスという回答をけっこういただいたのだが、彼らは南仏プロヴァンス地方出身。もっとも歌はスペイン語のことが多い。ちなみにグループ名は「ジプシーの王」という意味ではなく、メンバーの兄弟の名字がレジェス(日本語では「王」)なので「ジプシーの、王さんファミリー」を意味するらしい。へー。

なお、もちろん彼らはスペインでも有名で、「♪ボーラーレ! ウォーウォ」という曲は、たしかドラえもんの中でジャイアンも歌っていた、ような記憶がある。なんせ剛田武の歌は聴くに堪えないのでよく覚えていないのだけれどね。

 

日本で有名なスペイン人、アンケート結果発表(2)