のらりインタビュー 第2回:パラダイス山元さん
マン盆栽は手間ヒマかかるところがいいんです。でも“癒し”とか、おおげさなもんじゃないですよ

今回は、パラダイス山元さんが主宰する会員制餃子の家「蔓餃苑 (まんぎょえん) 」に潜入して、ずうずうしくもビールとうわさの餃子をごちそうになってしまいました。
餃子に気を取られながらも、お話はしっかり収録してきました。
パラダイス的マンボワールドは、はっきりいって楽しいことこのうえなし!

1962年、北海道札幌市生まれ。
カーデザイナー、ラテンミュージシャン、作詞・作曲家、マン盆栽家元、餃子王、入浴剤評論家(風呂ーリスト)、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロースなどその活動は多岐にわたる。
「LATIN MAN」、「東京パノラママンボボーイズ」「パラダイス山元と東京ラテンムードデラックス」「東京パノラマラウンジ」のリーダーとしてCDをリリース。著書に『ザ・マン盆栽』(文藝春秋文春文庫PLUS刊)、『ザ・マン盆栽2』(芸文社刊)、『お湯のグランプリ』(角川書店刊)、『たこやきDEマンボ』(角川書店)がある。
マンボの王様、故ペレス・プラードより伝授された「アーーッ、うっ!」の掛け声は絶品
(この音声の無断使用・サンプリングは禁止します→)
(以下敬称略、Nはのらり編集部です)

ミュージシャンとしては「忙しすぎず、暇すぎず」のスタンスです

N:先日大阪でイベント「ラテンパニック!」を開催されたそうですが、大阪はどうですか。
パラダイス:約3年ぶりでしたが、なかなか熱かったですよ。東京と同じ選曲でも反応が違うのでなかなか楽しい。「お?こうくるか。それじゃ、この曲はどうだ?」みたいなノリです。クラブでは、最近一時間交代でDJをやるんです。朝までのイベントの時は、休み休みやっていないと、一人で朝までレコードを回したりするのは、体力的にキツくなってきたもんで(笑)。

N:ミュージシャンとしても忙しいですね。
パラダイス:メジャーデビューしてから11年ほどですが、「忙しすぎず、暇すぎず」というスタンスでやってきました。もともと「マンボ」という音楽ジャンル自体がマイナーですから、何十万枚とCDが売れるわけではありません。ただ一人でも多くの人に聴いて、楽しんでもらいたいという気持ちはありますよ。

N:NHKの「おかあさんといっしょ」で流れる『たこやきなんぼマンボ』も楽しい曲ですね。
パラダイス:僕としては、あれを聴いた子どもたちがマンボ好きになるように“マンボ・ワクチン”をプスッと注射したつもりなんですよ。子どものうちからマンボのリズムを慣れさせておいて、自分の好きな音楽を聴くような年頃になるといつのまにかラテンのリズムに体を動かす、こうなればシメたもんです(笑)。日本人のDNAのなかにマンボの「M」のカタチの遺伝子が組み込まれるようになるまで、ちょっとずつ浸透をはかっていきます。どこからも指令がでているわけじゃありませんが、これも僕の重要なミッションです。

お金をかけずにサクッと楽しむ。ただ手間と愛情は必要です

N:いろんな肩書きでいろんなことやってますよね。まず「マン盆栽 家元」からいきましょうか。
パラダイス:マン盆栽は、ふつうの盆栽に鉄道模型などで使われるフィギュアを乗っけて楽しむものなんですが、とりあえず「日本マン盆栽協会」を作って、家元を名乗っているわけです。ちなみに名前の由来は「マンボな盆栽=マン盆栽」。盆栽の上にマン(人)がいるという説もあります。盆栽自体は平安時代から続く歴史あるものですが、敷居が高いというか、同じ園芸でもハーブをいじったりするガーデニングほどとっつきやすくはない。だいいち年寄りくさい(笑)。ただ、わがマン盆栽は、特別な流儀や決まりなどがありませんので、誰でも気軽にできるのが好評の理由のひとつかと思います。

N:カルチャーセンターでも講座があるほどの人気ですよね。
パラダイス:最初の講座で、「時間とお金を使って習うほどのものでもないですよォ、皆さん友達いないんですかあ?」と聞きます(笑)。「何だったら講座の代金を返金しますので引き返すなら今ですよ」と。でも受講されてる人たちがお互いの作品を見せ合ったりして楽しんでいるようなので、まあいいか、と。今のところ「金返せ」とはいわれてません。

N:作品を集めて発表会とかはやらないんですか。
パラダイス:やらない。だってめんどくさい(笑)。というのは冗談で、いつの日か「日本マン盆栽展」とか日本橋の高島屋あたりでやりたいですね。マン盆栽の良さはお金をかけずにサクッと楽しめるところ。ただ盆栽ですから、毎日水をあげたり、枯らさないように手間と愛情はかけます。

「ザ・マン盆栽」芸文社
1,600円
N:マン盆栽の著書は英訳も載っています。外国人にも好評のようですね。
パラダイス:今朝もフランスのデザイン関係の媒体から取材を受けました。盆栽自体が日本の伝統文化のひとつとして受けいられやすいのだと思いますが、「マン盆栽を紹介させて欲しい」と、いろんな国からメールが来ますね。ただ、何語か分からないくらい文字化けして判読不可能なメールも舞い込んでくるので、日本語とはいわないまでも、せめて英語で書いてきてくれ、と思いますが。本当に読むだけでも大変になってきました。
日本への国際便の機内放送で流す「日本の文化紹介」みたいな番組で、マン盆栽が紹介されています。マン盆栽が伝統的なお茶や生け花と同じような扱いのひとつにくくられてしまって「大丈夫かなー?」と思いますが、だんだん楽しくなってきましたぞ!
国内の雑誌やテレビなどでもマン盆栽の取材は受けますが、安易に「癒し」的要素を求められるとちょっと困ってしまいますね。確かに、箱庭療法的な意味合いでマン盆栽が心理療法の一種として医療現場で使われている、という話は聞いてますが、「マン盆栽が現代人の疲れた心と体を癒す!」みたいな大げさなものではないと思うんですよ。
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