■Gallery 1 by 4 ~新進アーティスト・ガイド from New York
更新日2003/11/27

最終回: Antonio Vigil    4/4

 

Antonio Vigil
2003
oil on canvas,


 

I use landscapes with shared political, economic and cultural histories to illustrate both the cohesion and disjuncture created by migration and cultural exchange.

Antonio Vigil

私は風景を共有される政治的、経済的、文化的な歴史と共に用い、移民と文化交流により生み出される結束と分離を描いているのです。

アントニオ・ヴィヒル



この作品は、スタジオ訪問した際にはまだ制作中で、その次の週、グループ展のオープニングで完成作品を見た。建物の詳細がぐっと描き加えられていた。

実はこの作品、現在いくつかの作品で彼が取り組んでいる新しいものが入っている。3ヵ所、空の右端クリックすると分かりやすい)と、左端、左寄り中央に、あるイメージがかすかに入っているのだ。

メキシコの聖母、つまりグアダルーペのマリアの服に描かれている草花の線画である。グアダルーペのマリアとは、褐色であり、スペインから持ち込まれたキリスト教だけでなく、土着のアステカの信仰との混合から来たのではないかと言われているらしい。

メキシコの象徴とはいえ、すでにもう文化の融合を表しているアイコン。世界の至るところで常にゆっくり現れているものかもしれない。しかしこの融合、必ずしも両者からの歩み寄りではなく、一方の思惑によりあみ出されたアイコンかもしれないけれど。




Antonio Vigil  (アントニオ・ヴィヒル)
ニュー・メキシコ大卒。ミルズ・カレッジ修士課程修了。2001年にカリフォルニアからニューヨークに移り、制作を続けている。国内で幅広く作品を発表。ブロンクス美術館、国立ヒスパニック文化センター、アート・シカゴ、ミルズ・カレッジ美術館など。

BFA from University of New Mexico. MFA from Mills College, CA. In 2001, He has moved to NYC from California. He has exhibited nationwide such as at Bronx Museum of Art (NY), National Hispanic Cultural Center (NM), Art Chicago (IL), and Mills College Art Museum (CA).

原園 綾
(はらぞの・あや)


在ニューヨーク。新進作家およびアーティスト・イン・レジデンスなどのプログラムについて気ままにリサーチ中。ハンター・カレッジ人類学修士過程では知覚進化やアートの起源がテーマ。

Aya Kinoshita Harazono
Aya lives in NY, researching emerging artists and such art programs as artist-in-residence. Currently studying for a Masters in Anthropology at Hunter College. Her interests are lie in the evolution of human cognition as well as the origin of art.

  生き物進化中~カッパのニューヨーク万華鏡日記(連載完了分)