■Gallery 1 by 4 ~新進アーティスト・ガイド from New York
更新日2003/09/18

第24回: Susan Rabinowitz    3/4

 


Susan Rabinowitz, Positive Landscape #9, 2001
Oil on canvas, 20 x 30cm



It occurred to me - quite by accident, when I spilled some paint on the canvas - that without the constraints of the brush or brushstrokes, the paint could take on more of a life of its own and that I could push myself further out of the picture (become less of an orchestrator, more a conduit).

Susan Rabinowitz

誤ってキャンバスに絵具をこぼした時、筆や筆使いの制約から解放されれば、絵具がみずから生き生きと自由に表現を始め、私の存在を作品から消すことができるのではないかと思いついたのです。(すべてをコントロールする者というよりは、流れを促すような水路に近い立場になって)

スーザン・ラビノウィツ



「筆を使い油絵を長年描いていたけれど、何かがしっくりこなかった。作品に自由が足りない、自分が表に出過ぎている。」と感じていたという。アーティストが自分の作品に「自意識が過剰で、エゴが強過ぎる」というのは驚きかもしれない。自分を消すこと、絵の具に自主性を持たせること、そのためには実はかなりのコントロールが必要で、何度も失敗を重ねた上で、偶然の余地を残しながらも自分で方向性を持って描く(描かせる)ことができるようになった。

これは絵具の形が示唆する雲や水平線などから触発された絵画術で、キャンバスという限られた画面上で絵具に自由を与え、絵具がまるで自然と同じ様に振舞うようにすること。絵具は自然の真似をするかの様に、キャンバスの上に溜まり、定着し、ゆっくりと動き、そして蒸発や重力に従う。彼女は、こういった偶然で自然の出来事に反応し、決断して作品を完成させる。




Susan Rabinowitz (スーザン・ラビノウィツ)

ミシガン大卒。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ修士過程修了。ニューヨーク在住。ニューヨークを中心に作品を発表。アメリカ各地、およびヨーロッパを巡回するグループ展にも参加。

BA and BFA from the University of Michigan, and MFA from School of Visual Arts. Susan lives and works in New York. Her works have been shown in New York and also included in a touring group show nationwide and in Europe.

原園 綾
(はらぞの・あや)


在ニューヨーク。新進作家およびアーティスト・イン・レジデンスなどのプログラムについて気ままにリサーチ中。ハンター・カレッジ人類学修士過程では知覚進化やアートの起源がテーマ。

Aya Kinoshita Harazono
Aya lives in NY, researching emerging artists and such art programs as artist-in-residence. Currently studying for a Masters in Anthropology at Hunter College. Her interests are lie in the evolution of human cognition as well as the origin of art.

  生き物進化中~カッパのニューヨーク万華鏡日記(連載完了分)