のらり 大好評連載中   
 
■よりみち~編集後記

 



更新日2023/12/14

 


今更のことですが、自民党の政治と金の問題は定番ニュースとなっていて驚きも憤りも湧いてきません。今回はパーティー券による裏金づくりが常態化していた問題が急浮上してきました。すでに末期症状が出ている支持率最低記録を更新中(ついに17%まで下落;12/14)の岸田政権にとって、これでとどめが刺された状態ですが、不思議なことにボロボロで、もう次の閣僚人事に協力してくれる議員もいないと言われながら、まだ政権を維持しようとしていることに呆れるばかりです。通常の流れであれば、これだけ頻繁に大臣クラスが交代し、更迭ラッシュが続けば、内閣改造レベルでは済まされず、国会解散で総選挙に向かうしかないはずだが、ずるずるとこのまま岸田政権が年越しをしてしまいそうです。野党勢力があまりにも力が弱すぎるから、こんな状況を許してしまっているのですが、情けない限りです。

自民党の裏金づくりは今回初めて出てきた問題ではありません。裏金問題が出る度に政治資金規正法が改正されてきています。まず、1975年の田中金脈問題を契機に政治資金規正法が改正され、寄附の制限や政治団体の収支公開が義務付けられました。1992年には政治資金パーティーに関する規制、政治団体の資産公開、政治資金の運用が制限され、さらに1994年には有罪確定時の公民権停止規定が制定されてきました。2005年には政党及び政治資金団体以外の政治団体間の寄附の上限設定(年間5,000万円まで)、2007年には資金管理団体による不動産取得の禁止、資金管理団体の収支報告義務の強化、2008年には国会議員関係政治団体にすべての領収書の開示や第三者による監査義務付けがされてきましたが、一方でこの裏金づくりに最適な「政治資金パーティー」への献金集めが主流化しています。政治資金パーティーを隠れ蓑にし、事実上政治献金が行われていることが問題視されてはいますが、ザル法と呼ばれる政治資金規正法の真ん中に大穴が開いているのがこの「政治資金パーティー」による裏金づくりです。

企業・労働組合・団体などから政党・政治団体への政治献金を制限する代償として、1994年に政党助成法が制定され、各党に政党助成金(国民一人あたり250円、総額約320億円)が配られているわけで、自民党には2022年度で約160億円が血税から支払われています。よく政治にはカネがかかるとは言われていますが、政治活動費は十分すぎるくらいの歳費や文書通信交通滞在費が毎月支払われていて、一般の社会人からすると理解ができない世界です。結局、領収書が出せないことに使用したり、選挙用の買収資金のための裏金づくりであり、これは明らかに脱税行為に繋がっています。

一般企業であれば、収入と支出の会計が一致しなければ、明らかに脱税行為として罰せられますが、政治家の場合には特別扱いとなっていないでしょうか? 国民の生活を良くするために必要な法律の提案や予算を決めるのが国会議員の仕事ですが、自分の選挙活動や国会での保身のための醜い政治屋になっていないでしょうか? 
企業からの政治献金の裏ルートとなっていて、議員の裏金づくりの温床となっている「政治資金パーティー」を全面禁止とし、政治家がパーティーを開催する際は、すべて個人の記名式として、デジタル処理された会計処理を義務付ければよいのです。裏金を徹底的に排除する法律に変えるだけで、どれだけ政治がクリーンになることでしょうか。裏金=脱税として認識される必要があります。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

このコラムの感想を書く

 



のらり編集部

著者にメールを送る


バックナンバー

■更新予定日:毎週木曜日