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■よりみち~編集後記

更新日2022/11/10





日本の政治、というよりも今の自公維政権と言った方がよいだろうが、国会という国家の最高機関がまるで無視されているように思える。当然、すべてが国会で審議され法律が制定され、予算が組まれ、国家として運営されているのだが、国会を審議の場として政権与党が認識しているとは到底思えない。この指摘は今始まったことではなく、戦後続く自民党政権で繰り返し指摘され続けていることで、野党の質問事項に対してことごとく専門の官僚の作成した誠意の全くない、詭弁に満ちた答弁書を棒読みするのが大臣や役人の仕事であり、質問をはぐらかし、時には全く関係のない答弁を繰り返し、質問時間を埋めるだけの時間潰しで終わらせ、すでに説明責任を十分果たしたと胸を張るのだ。

旧統一協会の解散命令の件が気にかかり、文部科学委員会の国会中継を久々にチェックしてみた(いつも中継をチェックする度に、もうこんなクダラナイ会議は時間の無駄だと思い、呆れるのだが…)、あれだけ何もやらない、何も決めない岸田首相が前のめりで旧統一教会と自民党とは完全に縁を切ると言い出して、解散命令も視野に入れて徹底追及し、被害者救済を出来るだけ早急に実現していくと宣言したわけで、首相が言った以上、実行すると思うのは当然だろう。

ところが、最近、トーンダウンが各所で出てき始めているのだ。質問権を行使するとは言っても、何の法的権限が明記されているわけではなく、たとえ教団側が虚偽の説明をしても罰することができないだとか、解散命令にはハードルが高すぎてとても無理だとか、被害者救済法案も「マインドコントロール」という表現を入れるのは法律として難しいだとか、結局のところ、時間ばかり浪費してまた何も内容のある法律が一つもできない可能性すら感じられる。

そこで、文科省の責任部署である文化庁文化部宗務課はどのように取り組んでいるのか国会中継で確認したかったのだが、文部科学大臣の永岡桂子の答弁を聞いて、そのやる気のない、我関せず的な答弁書の棒読み一辺倒に呆れかえった。この大臣に今日の朝食のことを聞いたとしても、官僚にペーパーを要求し、全くロボットのように棒読みするだけだろう。旧統一協会の被害者救済の必要性も教団の解散命令も何一つ自分の言葉では語れないはずで、語るつもりもないだろう。ただ単に、自分の大臣就任期間を棒読みで乗り切り、その後に続く天下り先や議員年金のことだけを考えているクソ議員の一人なのだ。あのセコすぎる総務大臣の寺田稔もひどいが、この棒読み永岡桂子もひどすぎる。

他の国の国会議員は素晴らしいと褒めるつもりは全くないし、金にまみれ利権しか興味のない議員が多いことも各国同様であることは想像がつく、しかしながら、最近の自民党政権の大臣経験者の中で、本当に大臣らしい仕事をしたという議員が何人いただろうか? 

名前が言えて担当役人の用意するルビ入り文書を棒読みできるだけで、誰でも大臣になれる日本の国会は腐って当然だと思える。役人がすべてを取り仕切ることができる国会、それが官僚制度の最終目標なのだろう。政権与党と官僚による共犯関係が日本をより貧しくしていることは間違いない。すでに沈没し始めているのに、棒読み用の答弁書を作って、まだ沈んでいないことにして、問題を更に先送りにすることだけしか考えていないのかもしれない。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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