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■よりみち~編集後記

更新日2023/11/09



ロシアとウクライナの対立に加え、中東でのハマスへの報復と人質奪還のためのイスラエルのガザ侵攻がついに開始され、国連やアメリカの停戦調停は全く機能していない状態です。

フランスの歴史人口学者であるエマニュエル・トッド氏やロシア外交の第一人者であるフョードル・ルキヤノフ氏は、「第三次世界大戦は本当にすでに始まっている」と主張していて、何とも恐ろしい事態になってきたものです。その根拠となっているのが世界秩序の崩壊と、紛争解決のメカニズムが存在しないことを挙げている。言われてみると確かにそうなのだが、人類は本当に進化しているのだろうか? 我々は過去に何を学んできたのだろうか? まだまだやれることはあるはずです・・・

すでにガザの戦闘での死者は1万人を超えていることが報告されており、ユニセフ(国連児童基金)の10/27のレポートでは、約140万人が家を失い、国連設置の150ヵ所のシェルターに約62万9,000人が避難。全体の40%を占める221の学校が被害を受け約62万5,000人の子どもたちが教育を受けられなくなってるそうだ。約16万5,000b人分の医薬品や5万5,000人分のペットボトル入り飲料水をガザ地区へ運び込んでいるとのことだが、全く支援物資が足りていない状況とのこと。

イスラエル側から観ると、ハマスが奇襲攻撃により、一般市民に対しての無差別集団殺戮(1,200人が殺害されたが、その内、アメリカ、タイ、ネパール、フランス、ロシアの市民も含んでいる)、テロ後、224人が人質としてガザの地下壕に連れ去られている。非戦闘員ばかりの一般市民ばかりが殺害されていることは言語道断なテロ行為で、国際社会からも非難されていることは当然のことだ。224人という大量の人質奪回のためには決死の作戦を展開するのも当然のことだろう。

一方のハマスは、軍事力や資金力においてイスラエルに全く歯が立たない巨人とアリのような存在ではあるが、パレスチナ人のアイデンティティを武力で奪い去ったイスラエルの存在自体を否定する思想で、先祖からの復讐を誓って団結し、手段を選ばずイスラエルに打撃を与え、国際世論を焚き付けることを目的にしているテロリスト集団でり、自らの組織をを守るにはパレスチナの一般市民を盾にした地下活動で、攻撃先を限定させる作戦が唯一の戦略でもある。結局のところ、ハマスの戦闘員が一般のパレスチナ市民と同化していて、武器を持っているかどうかでしか区別ができない戦場なのだ。まるでゾンビ映画のようで、いくらでもハマスは一般市民の中に潜伏して生き返ってくるような存在なのだ。このガザ侵攻で一番の被害者は、和平をひたすら願っているパレスチナの一般市民であり、何にも知らない子供たちなのだ。

国連による停戦調停が全く機能していていないことはすでに明らかなことだが、イスラエル側が全く聞く耳を持っていない以上、ハマスの人質解放を仲介する方向で動くしかガザの人道被害を抑制できない。ガザを南北に分断して圧力を掛けようとしているイスラエルだが、パレスチナ人を追い詰めどこに追い出そうというのだろうか? もうどこにも行けない難民ばかりのパレスチナ人を思うと、この根源的な問題を誘発した三枚舌外交のイギリスの悪徳政治家たちを思わずにいられない。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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