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■よりみち~編集後記

 

更新日2014/10/23


今年を振り返るのはまだまだ早い時期だと思うのだが、最近のニュースのスピードになかなかついていけない現実がある。2月にソチで冬季オリンピックがあり、ついこの7月にブラジルのワールドカップで盛り上がっていたはずなのだが、日本ではもうすぐスポーツの締めくくりイベントの日本シリーズ開幕である(北海道日本ハムファイターズは惜しかった)。さらに、世界情勢の方に目を向けるともう大変なことになっている。1月からタイ国の揺れ動きバンコクで非常事態宣言、2月にはウクライナ騒乱から内戦状態へ、3月にはマレーシア航空370便(239名)がインド洋で消息を絶ち、プーチン大統領がクリミアをロシアに編入宣言し、4月には韓国のクルーズ旅客船「セウォル号」沈没事故(294名死亡)、5月にはタイ国の軍事クーデター、6月は中国が南沙諸島での石油採掘でベトナムと衝突、7月にはウクライナ・ドネツクで、マレーシア航空17便(298名死亡)が撃墜され、またイスラエル軍のガザ侵攻開始し、8月の停戦合意まで断続的に攻撃し続けた。そして、8月には西アフリカ諸国にエボラ出血熱の感染拡大してパンデミックスが心配されており、シリア・イラクでイスラム国が侵攻を始め、オバマ大統領が「正義の鉄槌を下す」と演説。一方のアメリカではミズーリ州で警察官が黒人青年を射殺、抗議デモに発展。もうアメリカは海外でも国内でも大変な状態だ。そして、最近では9月のスコットランド独立の住民投票(僅差で否決)があり、日本でもまさかの御嶽山大噴火で多くの登山客の犠牲者(56名、行方不明7名)が出ている。そして10月から始まった香港の学生が民主化を訴える「雨傘革命」運動が長期化の様相を帯びてきている。
ニュースだけをピックアップしていくと、世界中で不穏な動きが多発していて、このままで地球は大丈夫なのかという気分になってくる。時代の潮目に入っていることは確実なようだが、グローバリズムとナショナリズムが混在していて、収拾不能な混沌とした状況が増えてきているようだ。その典型として、問題の「イスラム国」がある。すでにアメリカでは「国(state)」の表現ははずしているようだが、いきなり「国」を名乗りシリア・イラク・トルコ国内に勢力を拡大し、世界各国のモスリム義勇兵を集め、イスラム教以外の宗教信奉者を抹殺して理想の国家を樹立しようとしている。奴隷制を復活させ、異教徒は殺すか奴隷とするという、紀元前にまで時代を戻すつもりのようだ。アメリカはすでにイスラム国との闘争が長期化することを予測していて、これから30年かけて対応していく必要があることを分析済みのようだ。それほど手強い相手ということだろう。今までのテロリストとの闘いと違い、利害関係が複雑化していて、元はシリアのアサド政権撲滅のための精鋭部隊から始まったイスラム国で、シリアの開放のためにはイスラム国はアメリカの味方であり、イラクやクルド地区の占領では敵対する関係で、各国の思惑や宗派対立などが絡みつき、表ではイスラム国の空爆に参加しながらも、裏では経済支援をしているような関係が今後も続いていくようだ。
そして、日本の政治経済に目を向ければ、もう腹立たしくなるので列挙するのはやめるが、とにかく言えることは、この安倍政権の特徴は、民主政権の自滅により支持率が上がった自民党のイメージをとことん利用して、耳障りのよい言葉だけを多用して、景気操作を行い、増税を乗り越え、原発をいつの間にか再稼動し、福島の復興もやったフリでお茶を濁し、あれよあれよという間に秘密保護法で国民の口封じをしながら、憲法まで変更して、アメリカのTPPの踏絵をしっかり踏んでポチ外交を繰り広げ、安倍さんの大嫌いな中国・韓国をアメリカに牽制してもらいながら「美しい日本」を謳歌することが夢なのだろう。しかし、そんな夢物語に付き合わされたら、日本は大変なことになります。ここにきて、順調に進行していたかに見えていた自画自賛のアベノミクスも明らかに失速しているのが見えてきていて、消費税10%の決断も難しい状況となってきているし、イメージ戦略の最大のポイントであった「輝く女性」路線も、女性大臣の登用でいきなり政治資金問題とスカーフとウチワ問題で頓挫し、内閣支持率も50%を大きく割っている。もう「すべてはコントロールされていて、なんの心配もない」とうそぶいていられない状態となってきた。このままいくとアベノミクスの大崩壊が始まりそうで、日本が大失速する前になんとか浮上できるように野党が一丸となって頑張らないといけないのだが、政党の分裂騒ぎばかりで、野党再編でまとまる気配すら感じられないのは一体どういうことだろう。この際、国会議員の定年制をしっかり決定して、年金需給年齢の65歳定年とすれば、政治屋さんたちはもう少し整理されて、汚れていない若手にバトンが回ってくるのではないだろうか。少なくとも、老醜ばかりを見せ付けている石原翁とか、立ち枯れ政党は総退陣となって、リフレッシュされると思うのだが、誰か言い出せる勇気のある議員はいなのだろうか?(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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