のらり 大好評連載中   
 
■よりみち~編集後記

 

更新日2017/09/07


北朝鮮とアメリカの“チキンレース”がのっぴきならない状況にまでエスカレートしてしまった。カリアゲ君は先代、先々代の遺言である核保有国として世界に認知させる使命を忠実に実行しようと、着々と準備を進め、ついに水爆搭載可能なICBMをつくってしまったようだ。軍事力では貧弱な貧乏独裁国にとって核兵器保有しか切り札がないというのは当然の論理だろう。イラン、イラクの例でもそうだが、核兵器を搭載したミサイルを持っているということだけで、隣国や敵対国にとってこれ以上の脅威はない。冷戦以降の核拡散防止条約や核廃絶条約など、核兵器を保有している国のためのことであり、北朝鮮や他の核開発途上国にとっては寝言にしか聞こえないだろう。その敵対国であるアメリカにとっては、核兵器保有どころか核開発することが許せない行為であり、核兵器の廃絶、開発を即時停止しない限り、いつでも軍事行動をとる用意が出来ていると、これまた一歩も譲歩など考える余地がない強硬姿勢を崩さず、痛い目に遭う前に、言うことを聞いてテーブルに着けと脅しをかけ、第二次大戦の日本参戦時と同様に、物資や金融封鎖のための貿易禁止や人材雇用の禁止、そして最後は石油の禁輸まで追い込んで、兵站攻めで弱体化させ、強引にでもテーブルに着かせようと一貫した禁輸戦略である。

隣国の戦争当事国(朝鮮戦争はまだ終わっておらず休戦状態)である韓国の立場は微妙だ。アメリカの挑発によって、まず最初に攻撃される可能性があるのは韓国と日本であり、韓国としては朝鮮半島の統一が悲願とは言っているが、ここまで休戦が続いて独自の発展を遂げている現在、無用な犠牲を払ってでも北朝鮮を武力で併合したいとは思っていないはずだ。統合によるメリットよりも経済的な負担や国内状況の混乱など考えれば、東西ドイツの統合のような平和的な解決を望むのは当然のことだろう。一歩も引かない考え方のアメリカに対して、同盟国であり支援国である親玉アメリカに一目も二目も置きながらも、本音は軍事行動だけは避けて平和的な交渉を望んでいるはずだ。日本だって同様である。キタが真っ先にミサイルで狙うのは、日本にある米軍基地や一番被害が大きい原発のはずだ。安部ポチさんはアメリカの腰巾着であり、幇間でしかないから、トランプさんの言うことをそのままヨイショするだけなので、こんな大事な局面では全く頼りにならないし、却って状況を悪くするばかりだ。戦争放棄を憲法に謳う日本として、平和的な解決を最後まで貫くのが日本の総理大臣の立場であることを全く忘れてしまっている。

スイス軍とスウェーデン軍が、韓国と北朝鮮の国境付近に国連軍として配備されいて、その永世中立国であるスイスのロイトハルト大統領が、北朝鮮とアメリカとの仲介役を表明してきた(2017.09.04)。本来は、スイスが提案してきたことを日本政府がやるべきことだ。戦争放棄国の日本が仲介して、アメリカと北朝鮮をとにかくテーブルに着かせ、話し合いによる緊張緩和と核兵器開発の停止を条件とした交渉を推進すべきなのだが、安部ポチさんではトランプの傀儡政権としか見られていないからとても無理な話になってしまった。カリアゲ君が核兵器をすでに持ってしまったことは、もう誰も否定できない現実であり、アメリカが昔から繰り返してきた核兵器開発停止の警告はもう意味がなく、核施設の廃棄も現実的な提案ではなくなっている。現実路線に沿ったアメリカの対応が不可欠な段階に入っており、すでに持ってしまった核搭載可能なICBMを使わない交渉をするしかないだろうと思える。これは北朝鮮の核保有の黙認を意味することで、アメリカにとっては屈辱的な交渉となるが、北朝鮮の最も恐れているのは韓米の合同軍事訓練であり、アメリカ主導によるカリアゲ君の暗殺計画であり、その中止を約束するだけで核兵器開発の抑止が可能になるわけで、このチキンレースを一刻も早く中止するためには、アメリカの譲歩しかないと思える。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

このコラムの感想を書く
 



のらり編集部

著者にメールを送る


バックナンバー

■更新予定日:毎週木曜日