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■よりみち~編集後記

更新日2023/08/24



2023年08月24日、午後13時、日本政府が放射性汚染水の海洋投棄を強行したこの日この時間を忘れることはないだろう。岸田首相は、汚染水の海洋投棄の可能性を問われると、毎回のように「関係者の理解なしに、いかなる処分もしない」と約束していたのはいったい何だったのだろうか? 単なるウソつきの問題ではなく、安心させて煙に巻いていただけで、明らかに今日の海洋投棄のスケジュールは事前に決めてあり、準備を着々と進めていたのだろう。7月4日に突然IAEA(国際原子力機構)のグロッシ事務局長が来日して、海洋放出計画を評価する報告書を岸田首相に手渡すパフォーマンスをメディアにアピールしたのは、最終工程のハイライトだったのだ。いくらIAEAの事務局長が問題ナシを強調しても、IAEAが原発推進のための国際団体であり、日本政府や東電が資金を出している組織なのだから、何の意味があると言うのだろうか? 原発推進団体のIAEAだけがトリチウム水を希釈すれば問題ないと言っているだけで、他の放射線専門学者や組織は一切賛成していない。原発推進団体としては、今後問題が起こっても日本のフクイチでもトリチウム水の海洋放出しているという実績はメリットであって、多くの原発施設で日常化する可能性もある。
今回の「汚染水の海洋投棄」は、フクイチの廃炉問題のギリギリの解決策のように喧伝され、時間的にも空間的にも追い詰められ、どうしようもない苦肉の策のように思われているが、実は全くの演出であり、この汚染水の海洋投棄が日常化することで、今後の原発施設での汚染水処理問題が格段に楽になるからにほかならない。タンクの敷地がないなどとまことしやかに言われていっるが、全くのでたらめで敷地内にはまだタンク増設の余地は十分にある。ただ単に、現状の計画では23年7月で満杯となり海洋放出が計画されていただけなのだ。また、トリチウム水ばかりが注目されているが、ALPSはトリチウムだけが取り出せないとしているが、実際にはストロンチウム90、セシウム137、ルテニウム、ヨウ素129、炭素14など基準値超えした放射性物質が含まれており、トリチウム以外は微量で問題にならないと逃げているだけで、専門家からは見過ごせない大きな問題だと指摘されていたのです。
政府や東電の主張として、実際に中国や韓国でもトリチウム水の海洋放出は実行されており、日本の処理水だけが問題視されるのはいかがなものかとしているが、今問題になっているのはフクイチの処理水、それも問題になっているALPS処理水だから騒いでいるのです。中国や韓国のトリチウム水は稼働中の原発からの処理水であり、フクイチはメルトダウンした原発事故を起こして廃炉作業がなかなか進展していない原発から今も流れ続ける汚染水なのです。トリチウム水だけであれば誰もこんなに反対はしていません。ALPSで取り出せない危険な放射性物質が混じった汚染水であり、全く誰にも予測ができないことだから地球環境の保全のために海洋投棄は絶対にするべきではないのです。政府と東電は、すぐにでも汚染水の海洋投棄を止めなさい!!!
(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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