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■よりみち~編集後記

更新日2023/04/06



1993年のことだったと思いますが、初めて私が「インターネット」という概念を認識した年でした。NTTの社内雑誌の取材で設立されたばかりのIIJ(株式会社インターネットイニシアティブ)の事務所を訪問して、「モザイク」(NCSA Mosaic)のデモンストレーションを見せてもらい、インターネットの概要の説明を聞いたのでした。当時、通信といえば電話回線やISDN経由での「パソコン通信」のことで、メールや掲示板、チャットなどはすでに使ってはいましたが、通信トラブルも多く、まだまだ発展途上だと思っていましたが、初めて触れたインターネットは、今思うと実にシンプルなブラウザ創世期の画面でしたが、アメリカと瞬時につながる画面とインターネット検索能力の可能性に興奮して、これは世の中が間違いなく変わるという予感が鈍感な私でもビシビシと感じました。その後のインターネットの発展はご存じの通りの展開ですが、インターネットが普及する初期段階では、インターネットによって変わるライフスタイルについていけないアナログ世代の問題(今でも続いているのかも知れませんけど…)、何でもかんでもネット中心に動く世の中に危機感を持つ考え方も出てきたことも事実で、ネット全盛時代になっている現在も、果たして人間として幸福な生き方なのだろうかと、結論が出ないことは知りながらも、立ち止まって考えてみたくなります。

そして、時代はさらに加速している実感が最近特にしています。「Web3.0」とかずいぶん前から専門家が言い始めていましたが、近年、「メタバース」「ブロックチェーン」が注目され、ついに去年あたりから「オープンAI(人工知能研究所)」「チャットGTP(人工知能チャットボット)」「Bard(対話型AI;Google)」「NFT(非代替性トークン)」「DAO(分散型自律組織)」が話題の中心になっており、「Web3」と言われる時代がついに始まった感じがしています。そして、「チャットGTP4」の発表で、オープンAIの人工知能の開発を危険視する専門家の意見が発表されています。ネット時代の中心的存在であり、オープンAIにも投資していたイーロン・マスク氏が、社会にリスクをもたらす可能性があるとして、まずは安全性に関する共通規範を確立する必要があると訴えており、「GTP4」を上回るシステム開発を6ヵ月停止すべきとAIの専門家など1,000人以上が署名する公開書簡を提出しました。それほど驚異的なAIになっているわけです。最も恐れられていることですが、AIによって人類が支配され、SFのような世界が現実化する可能性や、AIが悪用され陰謀や戦争などの原因に拡大していくことを、AIの専門家で完全に否定する人はいません。その可能性を心配する人が多いのが現状なのです。

しかし、Web3の進展はもう止まることがあり得ません。かつてインターネット普及時に多少の違和感を覚えたように、確実に社会にとんでもないスピードで浸透していくことは明らかです。メールやスマホの普及のように、アッという間にWeb3からWeb4、Web5に変化して、ライフスタイル自体が変化していく可能性も否定できません。ただ、ネット格差がこれ以上広がって行ったり、仮想通貨などで新たな富裕層が生まれたり、ネット差別が生まれたりすることがないように、そして平和な世界に向かって行くことだけを祈るしかないようです。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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