■よりみち〜編集後記

 


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更新日2007/04/05


2007年アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『不都合な真実(An Inconvenient Truth)』(デイビス・グッゲンハイム監督作品)を観てきた。アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領が、1970年代からのライフワークとしている地球温暖化問題について世界的な啓蒙活動を行っていて、この講演の模様をドキュメンタリー化した作品だ。土曜日にもかかわらず、残念ながら観客は10名に満たなかった。映画としては重いテーマであり、難しい問題を扱っているわけだから当然といえば当然かもしれないが、あまりの少なさに地球温暖化という問題の困難さを再認識した。この映画を観て、アル・ゴア氏はすでに単なるアメリカの政治家というだけでなく、地球を相手に政治を始めたことを知った。彼自身、自分の一番下の息子が交通事故に遭って1ヶ月間生死をさまよった体験以来、考え方が180度変ってしまたことを映画の中でも告白しているが、一人の地球人としてかけがえのない地球を守るために世の中を変えていく啓蒙活動をライフワークとすることをミッションと考えるようになったようだ。自分たちの生活環境ばかりでなく息子たちに、そしてさらに続く子孫に地球を残していくためには、今考え方を世界中で変えなければならないことを伝えるために世界中の人を相手に説得する旅を続けている。近い将来、彼をブッシュの代わりにアメリカ合衆国の大統領にしなかったことをアメリカ人、そして世界中の人が悔やむときがくると確信する。思い出してみると、彼がクリントン時代の副大統領の時代に企画した「情報スーパーハイウェイ構想」が今のインターネット時代の呼び水になったわけで、彼の先見性は地球温暖化ばかりでなく、時代を先取りしているカリスマ政治家の一人だと思える。この『不都合な真実』はもっと世界中の教育の場で上映すべきだと思える。授業の一環として上映することを義務づけるくらいやらないと手遅れになりそうなのだ。どこの国でも同じだが、頭の固い政治家に期待していても地球温暖化は防げないことは明白で、頭のまだやわらかい子供たちや若い学生たちから大人たちに解答を迫るようにしないと何も変化は起こらないだろう。地球温暖化を抑制することは、自由な資本主義の思想とは相容れないもので、政治的で国家的な大胆な発想の転換が必要になる。利益主導の考え方を変えなければ実現できる問題ではない。生産する行為そのものがCO2を大量に発生させる現実をどのように抑制しながら生活していくか国家レベルで方針を打ち出し、国家間で競いながら抑制していかない限り実現不可能な状態であり、個人レベルの活動では時間的に間に合わないと思える。とてもショッキングな映像を見せられた。ほんの十数年前の映像をビフォー・アフターで比較して見ると、世界中のいたるところで切迫した状況になっていることが分かる。すべて現実の地球の姿であることに驚いた。地球温暖化は現実の問題ではあるものの、自分の生きている時代の問題ではないと高をくくっていたのだが、そんなに現実は甘いものではないことが分かった。近い将来(早ければ数年後か)、台風やハリケーンなどの自然現象でその恐ろしさを目の当たりにする可能性が高くなってきている。実際、フロリダのハリケーン災害やヨーロッパの熱波、アフリカの大干ばつなど、深刻な問題が次々と続いて発生しているわけで、そんなに時間的な余裕はなくなってきている。このドキュメンタリーは、自分になにができるのか考えさせられる映画だった。日本の場合、すぐできることとして、坂本龍一氏が提案している自動販売機をまずやめることが思い浮かんだ。「もったいない」ことが結構あることに気がついた。ところで、この映画でやたらとMacのアップルマークがでてくるなと思ったのだが、アル・ゴア氏を調べていたら、アップル社の取締役をやっていることが分かった。啓蒙活動もお金なしではできないわけで、なかなかビジネスもしっかりやる人のようだ。この映画の収益も莫大らしく、活動資金づくりも万全なようで、どこかの国のNPO法人もこのしたたかさを見習うべきかも知れない。 (

 

 

 


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