■よりみち~編集後記

 


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更新日2003/02/20

先週末、山下洋輔(ジャズピアニスト)と林英哲(和太鼓奏者)のジョイントコンサートを聴きに行った。コンサートの内容が素晴らしかったのは言うまでもないのだが、休憩時間にロビーでぼーっと余韻に浸っていると一気に目が覚めた。というのは、元モデルの山口小夜子を見かけたからだ。どんな美人でも年とともに容姿は衰えるものだけど、彼女は別モノな感じがした。なんというか、すでに別の次元にいっちゃってるというか(良い意味でなんだけども)。きれいなだけではなく、特別なオーラが出ていたというか? 着ている服もカッコイイんだこれが。まさに眼福、眼福。(志岐


ジョー・コッカーというロック・ボーカリストをご存じだろうか? 知っているという人はだいたい年齢の想像ができそうだ。デビューは1964年、独特のしわがれ声とユニークな歌い方が特徴だった。伝説の「ウッドストック」(69年)でその黒人顔負けのR&B風のボーカルで、その名を世界に轟かせた。レオン・ラッセルともつながっている人なのだが、そのレオン・ラッセルも知っている人は少ないだろう。私自身の記憶からもほとんど消え去っていた。当時からアル中というウワサだったので、当然引退もしくはお墓の中かと思っていた。ところが、このジョー・コッカーはバリバリの現役で今も歌い続けているのだ。今年の正月にだらだらと観ていた深夜のテレビ番組(昨年のモンタレー・ジャズフェスティバルの再放送?)に、突然登場したのだ。声を聞くまで誰か分からなかった。黒づくめの衣裳で、ゴマ塩ヒゲに、頭も薄く、腹がポコリとでた、どこにでもいそうなオヤジがそこにいた。だが、歌い出したその声は紛れもなく、あの懐かしのジョー・コッカーそのものだった。なんと64歳のロッカーがバリバリにシャウトしているのだ。寝ころんでテレビを観ていた私は、思わず座り直して聴いてしまった。ユニークな歌い方も昔のままに、やけに説得力のある「This Is Your Life」を1曲だけ叫んでステージを去った。64歳のオヤジのことを本気でカッコいいと思った。なんか元気をちょっともらった感じがして、歳をとるということがちょっとだけ素敵に思えた。翌日、彼の最新アルバムをネットで探している自分を発見して、それにもちょっと驚いた。(