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■よりみち~編集後記

 

更新日2024/02/01



自民党派閥の政治資金規正法違反事件で、安倍派の直近5年間で約6億7,600万円、約100人の所属議員のうち大半が裏金の還流を受けていたことが分かっている。これは安倍派だけの問題ではなく、自民党全体の金権体質の大問題なのです。そのそものことですが、1948年に制定された「政治資金規正法」という法律が自民党のために作られたような法律であり、それも金脈問題や裏金事件が発覚する度に何度も何度も修正されながらも、肝心の裏金づくりの抜け道が確保されているザル法として守り続けているのも自民党なのです。詐欺師が自らを裁く詐欺防止法を制定しているようなものであり、企業からの政治献金を合法的に確保し続けるシステムのために機能しているのが現状なのです。要は規制が厳しくなっている企業献金を個人献金として偽装し、寄付金が5万円以下であれば寄付者の氏名などが官報に公表されないことを利用してパーティ券販売が活用されており、政治家のパーティーが偽装した企業献金のスタイルになっていることは誰もが認識している周知の事実なのです。それがエスカレートして今回のような裏金還流システムにまで拡大化しているわけで、完全に合法化された既成事実として常態化し、犯罪意識が全く麻痺し、派閥が大丈夫と言っているんだから問題ないという、まさに横断歩道、皆で渡れば怖くない!方式になってしまったのです。

今回の自民裏金事件では、なぜか4,000万円という線引きが検察庁により設定され、逮捕者は池田佳隆衆院議員1名だけ(証拠隠滅の恐れのため)、安倍派と二階派の会計責任者が在宅起訴、岸田派の元会計責任者が略式起訴、安倍派の大野泰正参院議員と秘書が在宅起訴、谷川弥一衆院議員と秘書、また二階俊博元幹事長の秘書が略式起訴という結果で、裏金のキックバックを受け取っていた安倍派の議員数十人はもちろん、刑事告発された安倍派幹部7人と元同派会長の森喜朗元首相は不起訴(嫌疑なし)となっており、これで検察は終局のつもりのようです。判明した分だけですが、安倍派では5年間で6億8,000万円近い裏金が議員に還流されていたわけで、政治資金規正法的には記載していなかった、議員がキックバック分をプールしていただけという言い方になるのだが、一般市民的に言えば所得税違反の脱税行為そのものであり、裏金はすべて脱税として立件して最低でも通帳課税するのが当然のことです。4,000万円のキックバックを受けていた谷川弥一議員の略式起訴の罰金がなんと100万円で、そんな馬鹿なことが通用していることに驚かされ、全く納得できる話ではありません。有権者はもっと怒っていいはずです。

岸田首相は突然自らの岸田派を解散すると宣言(首相になった時点ですでに派閥会長を辞任しているヒトがそんなことできるのか?)、諸悪の根源である派閥を自民党からなくすと騒ぎ出しており、自民党内で「政治刷新本部」を立ち上げ派閥の解消を呼び掛け、盆暮れに派閥が所属議員に配る「氷代」や「もち代」の廃止などを盛り込んでいるが、派閥が問題なのではなく裏金(脱税)が問題なのであり、派閥が解散したとしてもすぐに再編成されるだけのことで、自民党から派閥がなくなるはずがないことは岸田首相が一番分かっているはずです。このような茶番劇を演じて時間を稼ぎ、自らの在任期間の延長を考えているだけの人のようです。

一般市民が求めているのは裏金(脱税)などが存在しない議員のガラス張りの会計報告であり、すべてデジタル処理することにより常に会計が公開されるシステムにして欲しいだけです。それができないのは、見せられない裏金が存在することにほかならないのです。もし国会議員に対して、このデジタル方式によるガラス張り会計システムが公開されるのであれば、イギリスやドイツのように政治献金に上限規制をなくしてもよいと思えます。ある特定の会社から多額の寄付を受けている議員が、その会社の便宜を図ったのであれば一目瞭然のわけで、不正は一般市民に常に監視されているわけで、発覚した時点でリコールできるようにすればよいだけです。裏金づくりが政治目的にもなっている自民党がこのガラス張り会計を許すはずがないわけで、そのためにも政権交代が不可欠なのですが、今の野党は全く骨抜きにされていて、これも自民党の思う壺になってしまっています。今、政治改革に期待できるヒトは元明石市長の「泉房穂」しかいないのですよね・・・(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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