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■よりみち~編集後記

 

更新日2024/01/11



2024年の元旦から能登半島地震という大災害、そして翌日の2日にはJALと海保機との羽田空港C滑走路上での衝突炎上事故と、今年は何とも大変な年になりそうな予感がします。
能登半島地震は関東でも相当長い時間揺れましたが、現地の定点カメラのTV画面では被害状況がそれほど深刻に思えない映像ばかりで、それが政府の対応の遅れにまで繋がっているかもしれません。被災者が発信するSNSの地震と津波の映像で、これはヤバイ状況であることが段々分かってきました。1月11日の時点ですでに213人の死者が確認されており、まだまだ安否が確認できていない人が多くいて、初動の遅れが気に掛かります。被災地に繋がる道路が不通になって救助にも行けない地区が多く発生したわけですが、道路も船もダメなら空しかないはずで、自衛隊に救助を要請したにも拘らずヘリ部隊が機能していないことに驚いた。やっと活動を始めたのが4日後からで、それも救援物資運搬が中心だったようです。北陸地方の半島という盲点もあるかとは思いますが、群発地震が4年も前から続いており、被災の準備ができていないはずはなく、それにも拘らず避難所では昭和時代から全く変わらぬ雑魚寝状態で、飲料水の備蓄もないのは行政の怠慢としか思えません。

阪神淡路地震、東日本大地震、熊本地震、、、近年だけでもこれだけ大災害が続いているにも拘らず、全く被災現場では昔と同じ光景しか見えてきません。毎回自衛隊に救援や支援要請があるのですから、その蓄積したノウハウを活かした救援部隊が知事の要請の前に真っ先に駆け付けるだとか、災害ヘリ部隊を組織するだとか、避難所に真っ先に段ボールベッドや間仕切りなどの救援物資や医療スタッフを送り込むシステムを構築することなど、どうしてできていないのかとても不思議に思います。これからまた倒壊した家屋や寸断された道路などの復旧事業が始まるのですが、まずは早急に仮設住宅を建設し、被災者の生活を取り戻すことに集中して貰いたいものでです。

また、2日に発生した羽田空港の滑走路上での衝突事故にも度肝を抜かされました。JAL国内旅客機が着陸と同時に爆発炎上したニュース映像が流れ、これは乗客の何人が犠牲になるかと思ってTV画面に釘付けにされましたが、その後の速報で、乗客全員が機内から脱出と表示され、さらに乗員乗客全員が避難したと報告され、拍手を贈りたい気持ちになりました。あれだけの爆発があり、エンジンから炎が噴き出す映像が流れていましたから、これはもう奇跡だと思えました。十数人の怪我人は出ましたが(ほとんどがシューターにいよる着地などでケガをしているようで、是非ともシューターの改善をしていただきたい)、犠牲者は海保機の乗員5名と重症を負った機長で、一般乗客に死者が出なかったことは、本当に不幸中の幸いだったと思えます。

今回の羽田空港の滑走路上の衝突炎上事故は、様々なあり得ない偶然が重なった不幸な事故だったことは間違いないことでしょうが、今回の事故で羽田空港での航空機の離発着がこれほど過密なスケジュールで運営されていることに驚き、また、そのアナログなセキュリティ管理にも驚かされました。特に羽田空港では管制塔とパイロットの通信だけで、滑走路上に信号機など設置されていないようです。後で知らされて更に驚いたのは、離発着の際に他の旅客機が滑走路に侵入していたり、離陸が遅れてゴーアラウンド(着陸のやり直し)するケースは、それほど特別なことではないという現実です。それぐらいプロのパイロットしかできないことが日々繰り返されているということなのでしょうが、今回のようなヒューマンエラーの偶然が重なる想定は不可欠であり、多くの国際空港で改善されてきているのも現実のようです。

世界で3番目に過密スケジュールで危険な空港として有名な羽田空港が、過密ながらもセキュリティも万全で安心できる空港に生まれ変わってもらいたいものです。そのために、まずは管制塔指示とダブルチェックできる滑走路侵入時の信号機の設置及び旅客機以外の小型機の離発着を他の空港へ振り分ける措置を早急にお願いしたいものです。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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